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STORY

『ポールハーデン』 20代のボクには余りに刺激が強すぎた、そんな90年代の思い出・・・。



初めてポールハーデンの商品(まずは靴)を見たときの衝撃は今でも忘れられません・・・

ちょうど90年代初頭からボクはCHIPIEというフランスのジーニングカジュアルブランドでお世話になっておりまして、フレンチ目線のアメリカンヴィンテージがボクのプロダクトのお題目でした。中古加工全盛でイタリアのリプレイグループやストーンアイランド、CPカンパニーそんなヨーロッパからの商品の雰囲気を日本の生産システムで表現?再現?がボクの仕事でした。インポートものには色気があるが日本製は生真面目だがなんか味が足りない的な評価を日本のバイヤー人から常に頂いておりました。

「ドメスティック」とは、今では輝かしいハイクオリティーな日本製!みたいな使われ方ですが、当時は薄味の百貨店平場感のある商品!と言ったネガティヴな意味でした。そして90年代中頃、このブランドの台頭を見せつけられ、決定的に打ちのめされることとなったのです。それが英ポールハーデンと米RRLでした・・・。古着の再現力、ジオラマと言っても過言ではないほどの作り込み、それがしっかりモードに昇華している様をみるにつけ、多少芽生えかけていたプロダクトへの自信みたいなものが砂の城の如く、波の侵食と共に崩れ去って行ったのでした・・・・。齢27の頃でした。
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。