皆様、新年明けましておめでとうございます。本年も当Amvaiとお付き合いの程、宜しく御願い申し上げます〜!!
さて、ボクの年末年始はというと自粛&プチ旅とメリハリを効かせた時間の使い方にて只今進行中〜。こんな状況下ですしねー、しゃーないです。そんな或る年末の朝、一通のメールがAUBERGEチャンネルのコメント欄に届いたんです。我がAUBERGE 2021秋冬のテーマが「白黒映画の世界観」なので、こちらの解説動画に対して視聴者の方から1本の映画をお勧め頂いたんです。それは、2011年のタル・ベーラ監督のハンガリー映画で第61回ベルリン国際映画祭グランプリ作品の『ニーチェの馬』を是非!という内容。こちらアマゾンプライムやネトフリに無料で上がってなかったので、まずはyoutubeのトレーラーをチェックいたしました。うーん、この1分59秒では全く意味が分かりません。感触としてはD.リンチ監督のイレイザーヘッドやエレファントマンあたりのグロ・シュール味なのかなーといったところ。まぁ時間だけはたっぷりなコロナ禍なので何気なくアマゾンプライムのレンタル48時間をポチったんです。結果、2時間34分の長丁場なんですが、なんと気が付けば制限時間内に3回観てしまう結果に・・・。それは何故ゆえに??
実はボクは当Amvaiでも何度か書かせていただきましたが、本が読めない体質で、合わせて、気持ちが入り込めない映画、演劇、娯楽に直面すると5分と経たずに寝に落ちてしまうんです。そんなボクからすれば、この『ニーチェの馬』なぞ最も手にとってはいけない構造で出来上がった映画なのです。いわゆる最後まで視聴するのが厳しい映画って2パターンあって、1つ目は比喩、伏線、時間軸がグチャグチャに張り巡らされていて理解の積み木が途中で崩壊し、意識が飛んでしまうタイプ。そしてもう1つが通称、長回し物。この修行系長回しの代表作といえばヴィスコンティーの『ベニスに死す』のオープニングのリド島へ渡るゴンドラのシーンや、ガス・ヴァン・サントの『エレファント』の電線注視などなど、ワンショットの固定カメラ、進まぬストーリーにヤキモキ・モジモジ・・・そして耐え兼ねた映画ラヴァーズ達を夢の世界へと突き落とすアノ苦行です。
はい、前振りはこの位にして本題の『ニーチェの馬』に移ります。この映画、ネット上の口コミ欄を観ても評価に至っては相当の論客ですらこの問題作をまとめあげるのは至難の技らしく、高評価であったにしてもその理由に関しては極めて抽象的。だって根底にはニーチェ思想が横たわっていて、永劫回帰やらツァラトゥストラはかく語りきとくれば、3回観た位のボクの力量では到底まとめのゴールへは辿り着ける訳がありません。
じゃあ、この『ニーチェの馬』自体が難しい内容なのかというとその逆で、(ココがくせ者)焼酎を貰いにくる隣村のオヤジのセリフ以外は小学生でもたどれる見た目なんですよねー。そもそも2時間半でセリフがほぼありませんし・・・。ハイ、では小林クン、感想文ではなく軽い所感で良いからどーだったの?と問われればなんとなくは喋れる気がしますが・・・止めときます。観賞後の印象自体が既に難解地獄にハマっているので、そういう人間のおしゃべりはほぼ宇宙語と化します。なのでファッション人としてのこのポイントを少々。まず衣装の質感表現が神の領域です。「白黒」とは、情報を50%伝え、50%は想像させる効能があるとライカ使いの友人カメラマンに教わりましたがまさにソレで、服に留まらず、馬の毛並み、荒凉たる大地、石を積み上げた壁、全ての質感表現がアートであり、見る側をクライマックスの無の暗闇に追い込む仕掛けでもあります。どうやら35ミリフィルムで撮って引き伸ばしてのザラつき表現だそうな・・・。
人間にとって、在るとは?無とは?命を繋ぐ意味とは?モーゼの十戒ですら、この親子と馬には成立しない。何故なら戒めるものすらこの大地には存在していない設定だから。あー、書きたくなってきましたがやっぱりやめときます。100人中95人がアウトなグランプリ作品と言われています。アンチ・ハリウッドが監督の裏テーマです。オススメしたボクを恨まないでください。初デートには選ばないでください。ただ、ボク的には人生映画序列ベスト5確実と申し上げさせていただきます。細野晴臣さん、イラストレーター安齋肇さん、映画好き俳優 西島秀俊さんらもハマったそうです・・・。さぁ、貴方も覚悟を決めて2時間34分の旅へご一緒に!!
1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。
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