写真はそんな白T全盛期である1990年に手に入れた BVD のロングTシャツ。何を隠そう、僕の母上が「加勢大周がこんなの着てたから」と買ってくれたものだ。そういえばクルーネック派の吉田栄作に対して、加勢大周はヘンリーネック派だったような気がしなくもない。こいつにエドウインの「ロンドンスリム」を合わせ、加勢大周を気取っていた天パ&ニキビ面の14歳・・・。笑うなかれ。これこそが正しき中二の姿でしょうが!
数年の着用ののち、〝肌着落ち〟した僕の BVD だが、こいつが日の目を見た時期がもう一度だけある。2001年〜2002年頃、 go-getter あたりの古着屋スタッフの方々を震源地に(でしたよね?たぶん)、こんなアンダーウエアにサイズアップしたブーツカットデニムや側章入りのタキシードパンツを合わせ、足元はビッグサイズのオールスター・・・なんて着こなしがちょっと流行ったのだ。アーリー90’sは清潔感の象徴だった白Tシャツは、この時代ではちょっと薄汚い古着がアリとされていて、不良っぽいクールなイメージを放っていた。肌着としての着用によってボロボロになった BVD はそんなスタイルにちょうどよくフィットして、なんだか誇らしかったのを覚えている。まだ実家住まいだったから、母上には「そんな汚いシャツ着て・・・」と怒られたものだが。
さすがに僕ももう40を超えているし、おそらくこれから先の白Tブームに〝乗る〟ことはもうないだろう。 BVD も27年間着倒してもう白どころか真っ黄色。肌着としてもそろそろ寿命である。そんなオジさんだが今のヤングたちにひとつだけ言わせてくれ。白Tの下にタンクトップを着るのだけはやめてもらえないか? 若者よ、乳首スケを恐れるなかれ。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。