とはいっても、1976年埼玉生まれジャンプ育ちの私にとって、『キャプテン翼』と『スラムダンク』によって勃興した2大スニーカー文明を避けて生きることは実に困難。球技はド下手なくせにスニーカーだけはいいものを履いているという、本気スポーツマンをイラつかせるスタイルで学生時代をやり過ごしてきました。
義務教育というスポーツ至上社会から卒業して以来、スニーカーとは無縁の生活を送ってきた私ですが、それでもたまにファッション的にほしくなるモノはありました。裏原宿ブーム時代に流行ったヘンテコ厚底スニーカー「ノースウェーブ」とか、モードブランドがこぞってネタ元にしていた「ジャーマントレーナー」、あと5年くらい前のピッティウォモでイタリア人がやたらと履いていた、アディダスの「L.A.トレーナー」あたりでしょうか。でもやっぱり、私が履くとサマになっていないような気がするんだよなあ・・・。なんというか、どんなに快適だったとしても、自分という人間とスニーカーという履き物は、リズムが合っていないような気がするのです。
そんな私の逡巡をあっさりと断ち切ってくれたのが、スポーツとは一切無縁のライフスタイルを送る都会人、有名ファッションディレクターのOさんです。数年前とあるフランスブランドが催したイベントの招待状に「スポーツ用シューズ着用」と記載されていたのですが、彼はそこにジョンロブのスエードチャッカブーツを履いて出席しましたからね。「これこそがスポーツシューズだ」と言い切って・・・しびれるぜ!
というわけで私も、大好きなクラシックファッションに合わないスニーカーはすべて処分! そして残ったのがスニーカー・・・というよりズックと呼んだほうがしっくりきそうな、フランスの「リヴィエラ」というブランドのスリッポンです。
アッパーはパンチングスエードで、ソールはリネンのテープを巻きつけたラバー。ナイキのドライフィットには合いませんが、リネンのバギーパンツにはよく似合います。ジョギングは無理ですが、街歩きには十分です。これからは、こいつが私にとってのスニーカーということで。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。