さて、今回の魅惑のお誘いは、ナント!伊・ PIACENZA社のビキューナです。それも100%モノでございます。スロウガンの秋のオーダー会のウワサを聞きつけ、正規代理店よりご連絡頂きました。ビキューナと言えば毛織物の top of top 、もうこれ以上の物はないって程の希少性、故の高価格設定・・・こんなところでしょうか?近年、ラクダ科のビキューナちゃんの乱獲、絶滅危惧から一転、高級獣毛メーカー各社の保護活動、尽力によりジワジワ個体数が復活しているとのこと、これは喜ばしい限りですが一般的な安定供給にはまだまだほど遠い取れ高しかないので、寿司屋でいう時価感覚がまかり通っております。ボクもこの仕事を続けている約30年のなかでビキューナに接した事は過去2回ありました。1回目は20歳代後半、ヴィンテージ雑誌を研究しまくっていた頃、アメリカの1950年〜51年の間に12冊発行された伝説のビジュアル・ファッション誌『 Flair 』の付録でビキューナの生地見本が付いていた様に記憶しています。こちらはうろ覚えなため確認中です。そして2回目は知り合いのお仕立て屋さんに持ち込まれたロロ・ピアーナ社製のビキューナ100%の着分生地でした。でも、この手の超高級獣毛って風合いを最大限に表現するために、その生き物のオリジナルの毛の色から極端に変えず仕上げることが多いんですよね。ありがちなのが肌色のようなベージュとか、ライトモカのようなお色とか・・・。これがメンズにはキツいんですよね。いわゆる全裸色だったりするんで。
しかーし!今回のピアツェン・ビキューナをご覧下さい。何とも魅力的なネイビーがあるではありませんか!ボクもこの紺碧のビキューナ海にダイブしてスタジャン作っちゃおっかなー?イタリア本社に問い合わせして、もし黒があるようだったら新型ライダースをビキューナ100%で作るのもオツなものですよねー。ビキューナ100%のライダースって人類初だと思いますので・・。この海にダイブするか?しないか?の判断って、買い物じゃなくて、もはや男の生き様みたいなものですね。ボクは今まさに73年の映画『パピヨン』のラストシーンでのスティーブ・マックイーンの心境です。誰かダスティン・ホフマン役となってこのダイブを止めてくれる人っていないかなーなんて、ちょっと後ろを振り返ったりして。いえいえ、まずはボクが身をもって紺碧の外洋を目指します。確か映画的には7番目の波が来たらそれがダイブの時、でしたよね。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。