指輪やネックレスがこれほど似合わない男も珍しいと思っている。何かしら似合うものは、探せばあるのかも知れないが未だにお目にかかったことがない。そんな僕が唯一この季節になると身に着けたくなるのがインディアンジュエリーのブレスである。
その一つが『フレッドハービー』のブレス。『 Fred Harvey Style 』呼ばれる、所謂インディアンジュエリーのお土産物である。
その昔イギリス人の実業家フレッドハービーにより設立されたフレッドハービー社は、観光産業で大成功を収め、ホテルやレストランを展開し財を成した。そのホテルなどで販売をするお土産物のひとつとしてインディアンジュエリーも加えられた。
当時の大きくて重いインディアンジュエリーを、より軽くて小ぶりなお土産物として適したサイズや価格にアップデートした1940年代頃のマーケティングの産物。
このブレスに実は相当憧れを持っていた。今は別の仕事をされている先輩が原宿でお店を構えられていた頃に、たまに油を売りに行くと手首にチラッとブレスが見え隠れしていた。それが抜群にカッコいい。その先輩はどんなラグジュアリーブランドを着てようが、また身に着けていようが、よくある妙なスノッブな雰囲気を出さない「技」を持たれていた。僕は今でもこの「技」をセンスというコトバの定義のひとつにしている。
このブレスを手に入れるまでに15年というと大袈裟かも知れないが、それ位の時間が経っているのは間違いない。その先輩を先輩に持つ先輩が(笑)広尾でインディアンジュエリーのお店を営まれており、そのお店に入荷した逸品。もちろん過去にいくつもこの類を見た事はあるが、どれもピンと来なかった。もしかしたら、刻印や価格、年代もこのブレスの上をいっているモノだったかも知れないが、僕には全く響かなかったのだ。その先輩を先輩に持つ先輩のお店に電話をして取り置きをお願いして、お店に行き購入をした。
この一連の衝動と行動を冷静に考えるととても懐かしい。インターネットが無かった頃は、みんなこんな感じの消費行動だった。『○○さんがミドリのバンダナを使っていたから欲しくなりました』みたいに(笑)。振り返ると今よりも不便極まりないが、今よりも物欲をそそる時代だったのかも知れない。僕が原宿で働いていた頃も、フレッドハービーさんがホテルを作ったころも。
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