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AMVAR が買った、今月の Amvai Item - 2017年2月小沢健二、解凍

いい加減しつこいようだけれど、兎にも角にも、僕にとっての最近のキーワードは「90年代」なのである。ただいまメンズプレシャスで企画・製作している特集のテーマは「クラシコイタリア」だし、エルメスのダッフルとかアルマーニのスーツやら、買い物にもその傾向はズバリあらわれている。資料として入手する雑誌も当時の「ブルータス」や「パパス」のカタログだったりして、もはやこの勢いはとどまることを知らない。なんて思っていたらついに「真打ち」が復活してしまった。
そう、小沢健二だ。ここから先は僕のルックスには目を瞑って読んでほしいのだが、1994年に友人の酒井くんからの薦めで一聴して以来、僕の心の奥底にはいつも彼が棲んでいる。というか心の中は当時から今に至るまで、彼の歌詞そのものだ。ボーダーも、ダッフルコートも、マッキントッシュのコートも、ローファーブーツも、白地に水色の四角い枠が入ったTシャツも、彼が着ているものは全部ほしかったし、似ているものを買い漁った。そして渡辺満里奈のよさがまったく理解できなかったのに、無理やりファンになったりもした・・・。念のためもう一度言おう。僕のルックスには目を瞑っていただきたい。
もちろん2012年と2016年に開催されたライブにも行った。あれは私の信仰するとある書物の一節「女房を質に入れたかて見に行かなあきませんで」という格言を、はじめて理解した瞬間だったように思う。
シングルCD「流動体について」を買うために久しぶりに訪れた渋谷のタワーレコードは、このご時世にあっても意外と多くの客で賑わっていた。一日中試聴コーナーで粘っていたあの頃の記憶がよみがえる。今どき珍しい手書きのPOPには19年ぶりの復活、と。うわあ、あの時代ってもう20年前なのか・・・。ちょっと泣かせるジャケ写に向かって手を伸ばしたところ、往年のオリーブ読者と思しき同世代の女子とバッチリ目が合ってしまい、お互い微笑みを向ける格好になった。こういうシチュエーション、せめて10年前だったらね・・・。最後にもう一度いいたい。この文章は心の目で読んでいただきたい。