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ともに歩むべき革靴Alden社製コードバンと高倉健さんの類似性。

ちょうど6年前のこの時期にたまたま買う事が出来たオールデン。バーニーズ横浜店でのオーダーイベントの休憩時間にぶらっとドレスシューズ売り場を通ったらこちらを見つめる黒々とした馬の尻。ファッションの流れが着飾ることから、さしたるディテールのない、用の美主義に向かう途上にあって、この1足はその代名詞のような輝きを放っておりました。確か、税込みで10万ちょい越えの価格設定。そしてその後「来年から値上げになりますよ!」とのささやきひとつ。実は、その後のオールデンのコードバンを取り巻く異常事態は、こんなもんじゃなかったんです。翌年以降、物自体が入ってこない。特にこのプレーントゥ。なのでその時の購入判断は大正解だったわけです。さて、革製短靴がマストではない自分であっても、さすがに6年も経つとコードバン独特の経年変化が現れて参りました。そこで、ここからはボク独自のオールデン・コードバンインプレッションとさせていただきます。
まず、コードバンは分厚くなければなりません。それはなぜか? 元々、通常の表革のような銀層(表面の層)+ 床層といった2層構造ではなく、散々お尻をひっぱたかれて強度の増した農耕馬のお尻の革の一部分を取り出したものなので、実はコードバンとは床革のような1層構造なのです。すなわち、強さと弱さを合わせ持っているといえます。このことがエイジングにとても影響することとなります。それは甲のシワの入り方! ここに尽きます。コードバンは全体で1枚ゆえ、ゆったりと大きく波打つようなシワが入るのに対し、銀層のある革は線香花火のようなシュワシュワっとしたシワが、大きく刻まれたシワから伸びるよう入ります。これがコードバンには出ないんです。ここが、靴磨きフェチのハート鷲掴みポイントなんですよね。サーフィンで波待ちしてるときの海面のゆらぎにも似た、穏やかな波形を徹底的に磨き込むと摩訶不思議な艶が現れるんです。またこの波形シワとあいまって、見窄らしくないヴィンテージ感を醸す。コレは革の構造によることとは知りませんでした。
しかしながらデメリットもあります。業界用語で「サクい!」って言うんですが、銀層がない分、ある一定方向の繊維に対して簡単に裂けてしまいます。相場より安いコードバン製品など要注意かもしれません。裁断工は、サクい部分かどこかなんて判ってますから。“サクい”を、紙に例えるとよく判ります。画用紙1枚なら簡単に裂けますが、和紙と画用紙のように密度の違う2種の紙を重ねると意外と裂けないですよね。革の強度ってこんなイメージです。あと、水に弱いですね。不意の雨や女性の涙?には要注意です。静かなる水面の様な表面感、革厚から来る重厚なホールド感、いぶし銀の光沢、なのにデリケートな一本気。まさにコードバンって、思いを巡らせるほどに高倉健さんのように思えてきました。着用者はよくコードバンの声に耳を傾けなければなりません。どんなに急なケアが必要な時でも、言葉少なですから〜。