皆さんご存知の通り、この写真集には丈の短いパンツ姿が登場しまくる。代表としては、画像の “颯爽と歩く” 男性。マドラスチェックのショーツとコブラヴァンプのローファー、そして白ソックスの組合せは、この本の読者誰しもが一度は真似てみた事があるのではなかろうか。そして62、63ページの「バーミューダ2題」はもうちょいラフなスタイル。どちらも長袖のシャツ(おそらくどちらもボタンダウン)にショーツ、靴下なし。校内での自由奔放な着くずし方を象徴したようなルックである。この他にも、スウェットシャツやジャケットを羽織っての短パン姿など、真似したくなるバランス感が満載だ。
注目すべき点は、解説文にある通り、これらのショーツのいくつかは学生たちが自分でカットオフしたものだという事だろう。日本人の体型では時として二の足を踏む短パンコーデだけれども、自分の身体に合わせてカットできるならば、何かしらいいアンバイのスタイルが見つかるのではないだろうか。
忘れてはならないのは、これらの学生たちは皆金持ちの坊ちゃんであり、ショーツを新調する金が無かったわけではないという事だ。これについて本書は、「いかにもアイビーの学生らしい合理的な服装生活」と評し、「おしゃれのために無理やり新しいジーンズを切り落す、どこかの国のアイビー族とはちと質が違います。」と釘をさしている。しかしその一方で、アイビーリーガーの “バンカラ趣味” について「わざわざきたなくした自転車に乗ってみたりする」という事実があるわけで、やはり本質的にはカットオフする事自体が、彼らが求める “スタイル” に含まれるものであると私は推測している。
何だか今更な事ばかり書いちゃったかもだけど、要は、迷ったら “基本にかえれ” って事です。だって『 TAKE IVY 』、こればっかりは揺るぎない日本アメカジの原点なのだから。
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