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ミドルエイジがはくべきショートパンツラングとジャーマン・カーゴのカットオフショーツな時代。

たしか97年か98年頃、TOKYO はヘルムトラング・デニムのビッグウェーブに涌いておりました。イメージ的には業界人腰履き前夜といったデリケートなタイミングでボトムが年々細くなっていっておりました。ウィメンズですとアールジーンなんていうスーパーモデル御用達デニムが大流行。見慣れるまではホントに人間が入るのか?ってな位のモードなシルエットパンツに世の女性達は挑み続けておりましたっけ。確か出始めの頃はノン・ストレッチだったような記憶もございます。
私がジルサンダージーンズの企画をお手伝いさせていただいたのがちょうどこの時期。打ち合わせが湖のほとりのホテルのスイート、などというバブルな良き時代、良い勉強をさせていただきました。そんな時代背景の頃、とある雑誌の写真に目が釘付けとなったんです。ロンドンのストリートスナップで、イイ感じのモード関係者風のメンズが、旧西ドイツのカーゴパンツをサイドポケット下からカットオフしてさらりと穿いているだけの1枚。実はここで切るとちょうどひざ丈になり、もともとテーパードシルエットのつぼまり始めな位置だったりするのでシルエットが子供っぽくならなくてしっくりくるんです。
元々、太くもなく細くもない、取り柄のないシルエットの軍パンだったので、どうにかしてかっこ良くならないかなーという思いは世界共通だったんですね。故に速攻マネさせていただきました。
このカーゴ、色も独特でグレイッシュなカーキなんですよね。これがまた書き出しのブランド、ヘルムトラングを感じさせるんですよ、たかだか5000円位で。以来、シルエットがダメダメなパンツ程、カットオフしたら蘇るの法則は2016年の今日までつづくのでした。決め手はややテーパードパンツを狙うことかな。でも自分の意志で着丈にハサミを入れることはそこに己のイズムを世に問う行為なんです。『これ、古着なんでたまたま』などというエクスキューズはもはや存在しません。そのプレッシャーに勝てばブランドに頼らずともここまで出来ます的なバランスの良いお洒落さんの称号が手の中に。まさにゲームですね。また、このジャーマンカーゴのカットオフ写真は、着こなしの中に『ヌケ感』を盛り込むはしりだったのかもしれません。キメすぎないのにかっこいいは最上級テクって訳です。