Fit in Passport に登録することで、あなたにフィットした情報や、Fit in Passport 会員限定のお得な情報をお届けします。

ページトップへ

面白さで選ぶアウター狩る人、狩らない人

お題は秋冬のアウターウェア。パリの Saint-Honoré 通りにある Artumès & Co は乗馬用のパンツ、ブーツ、ツイードの上着から猟銃まで取り揃えるハンティング用品の専門店です。現地では実際に彼らが主催の狩猟イベントも開催されているようです。2017年からインターナショナルギャラリー ビームスでは Artumès & Co のオリジナルウェアを仕入れています。コーデュロイやレザー素材のジョッパーズパンツからハンティングベスト、動物柄のシルクスカーフまで。中でも僕が気に入ってるのはツイードのスポーツコート。昨年はチロリアン、今年はノーフォークスタイルのものを購入しました。どちらも既存のモデルに対して生地を乗せ代えた当店の別注品。別注とは言っても、彼ら自身今まで卸売り自体をしたことがなかったようですし、不思議に思ったかもしれません。極東の島国に住む農耕民族が狩猟用品を売ってくれ、と突然ドアを叩いてきたわけなので。ちなみにこの別注品、生地はすべて Holland & Sherry のバンチから選んでいます。ヨーロッパ貴族の伝統的なスポーツとして今も存在するハンティングですが、本場はやっぱり英国。ブラウンやベージュ、グリーン、ワインなど自然の中に溶け込むアーシーな配色のツイード製カントリーウェアは英国趣味の象徴です。これがフランス人の手にかかると、不思議とグラマラスな仕上がりになります。Artumès & CoはArnys と Cordings を足して2で割ったようなテイストを目指しているのかもしれませんが、いま一歩ダサくて垢抜けないところを含め、なかなか面白い服だと思います。ちなみに写真のジャケット、実はドイツ製なんです。他にもレザーのハンティングベストはスペイン製、ジョッパーズパンツはインド製、ヘンリーネックの下着はイギリス製。多分、このジャケットをイタリアで作らせたらミョーに洗練されちゃって全然面白くないのでしょうね。お洒落すぎる服に飽き飽きしてる、という意味で日本人はちょっと変わった民族かもしれません。さらに言えば、ノーフォークジャケットを着て乗馬やツイードランどころか板橋区でママチャリに乗ってる民族も、これまた日本人だけでしょうね(笑)。