ボクの人生で一番良く着たレザーは多分 U.S NAVY のフライトジャケットG1で、次によく憶えているのがショットのワンスター・ライダース。こちらも肩に星、アルミの8角バックルの70年代お約束古着で21歳の時、絵のコンテストの賞金で当時3000フラン（6万円）で入手した物だった。流石に年と共に重くて固いアメリカンレザーとはちょっと距離を置く様になってしまった。しかしなんでまた男はレザーが好きなんだろう？よくよく考えると、ボクはレザーを着た「人間」が好きなのかも知れない。マーロンブランドとか、ポールニューマンとか。若かりし頃は、カッコいい、そして強そうなイメージを求めてレザーに袖を通してきた訳だが、50を過ぎた今日この頃は、ロベール・ドアノーの写真からちょっとファニーなレザーコートが気になって、気になって。で、作っちゃいました。元の着用者は晩年のル・コルビジェ。若干のオーバーサイジング。フランス製なのに表面がラッカー塗装仕上げのアメリカンなステアハイドでバッキバキ。大人なボクとしてはこのデザインだけを踏襲して0．7ミリ漉きのシープレザーで柔らかく作る・・・・そんな振りをして、今回はその真逆、度迫力なマウンテンゴート1ミリ漉きで作ってみました。文化人のインテリジェンス溢れる着こなしって、けっこうハマればカッコいいんですよねー。我が AUBERGE のル・コルビジェ レザーコートももう少して店頭に到着いたします。なんだか周りを見たら、2018年の秋冬は、機能素材やらスポーツマインドやらがセンターで、クラシックは一部愛好者のエンスーな嗜みと化しておりますが、そんなの100も承知で敢えて難易度の高い服づくりをしてみたかったんです。高機能ヤッケを着ていてもそれは街に溶け込むだけ。このレザーを着てユーロ圏に行けば、心あるスノッブな同志達がわざわざ「NICE!!」と声をかけに近づいてくるでしょう。そうか！今、レザーを着る事って、旧車に乗る感覚なのかもしれない・・・。維持する心と体の鍛錬、お財布の鍛錬、そして理解し合える仲間意識。この辺りをレザーウェアは繋いでくれるんだと思う。