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異国の物語を秘めたハンカチイタリアではハンカチを買え

イタリアのフィレンツェで年2回開催される世界最大のファッション見本市、ピッティ・ウォモ。私がその取材をはじめて、今年で10年になります。エディターとしてはまあまあのキャリアということなのか、いろんな人から「フィレンツェでいい洋服屋さんがあったら教えてよ」なんて言われるのですが、ごめんなさい。私イタリアでは、ほとんど既製服を買わないんです・・・! こんなことを言うのもなんですが、現地には日本のように気の利いたセレクトショップは皆無。正直言ってイタリア製のいい洋服を買うのなら、ビームスさんあたりに行くことを強くお勧めいたします。
しかしこんなご時世でも、日本のセレクトショップや百貨店じゃなかなか手に入らないものって、まだあるんです。それは究極にシンプルな、無地で純白のリネン製ハンカチ。それもポケットに挿すための高級品ではなく、汗をガシガシ拭える実用品です。
イタリアではそういった類のものは主に下着屋さんで商っているのですが、なかでも私が出張の際に絶対に寄るとっておきのお店が、フィレンツェ中心地にある、1895年創業の老舗「 QUERCIOLI & LUCHERINI 」。ここは日本ではもはや姿を消してしまった、カウンタースタイルのお店です。店員さんに片言のイタリア語で「ファッツォレット(ハンカチ)、ビアンコ(白)、リーノ(麻)!」と注文すると、棚から真っ白く輝くハンカチのお出まし。値段は失念してしまったのですが、たしか12EU くらいだったかな? 縁のかがりが丁寧なのでスーツのポケットにも挿せそうですが、値段も安いしサイズも大きめなので、あえて汗拭き用と割り切って惜しみなく使い込んでいます。
1度に5枚くらい買ってしまうから、私のタンスの引き出しの中は、全く同じ純白のハンカチでいっぱい。アイロンをかけるたびに、フィレンツェの思い出がよみがえります。