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XX年のヴィンテージ2033年のヴィンテージ

『へうげもの』で有名な漫画家・山田芳裕さんが1990年くらいに連載された初期作に『しわあせ』というのがある。1962年に生まれたバブル世代の申し子であるジュンちゃんが、ユートピアと化した2033年の世界で孤軍奮闘するというストーリー。
平和でオーガニックで平等な、いわば「完全社会」となったこの世界では、着色料まみれのウインナーも、ドラッグも、ロックも、暴力も、そしてファッションという概念も存在しない。80’sを謳歌した老人たちだけが、かつての残滓を懐かしむのみである。
そんな時代に取り残された彼らの楽しみが「スタイル・カウンシル・パーティ」。要するにお洒落コンテストである。70代になったバブル世代たちが、今や貴重品となった「3着1万円のスーツ」を着て80年代のお洒落を楽しむ中、〝めったにお目にかかれない〟イタリアンスーツで華麗に装う元アイドルのツバサじじいと、〝国宝に近い〟ゴルチエのスーツにオニツカタイガーを合わせたジュンちゃんが鎬を削る・・・。とまあ、そんなストーリーである。
古着のアルマーニをかき集めたりしている僕としては、他人事とは思えない。
もしかしたら15年後の現実世界では、ファション業界においてはファーなんてもってのほか、レザーですら罪深いシロモノになっているのだろう。でもって天然素材はぜ〜んぶオーガニック。性差別はNGだから、メンズとウィメンズという概念も、取り払われているかもしれない。さすがに宇宙服みたいなヤツは着てないだろうけど・・・。きっとそんなユートピアで、僕は到底日の目には出せなくなっているアルマーニのファー襟コートや、ウエストンのアリゲーターローファーを身につけ、「スタイル・カウンシル・パーティ」を開催しているはずだ。正直いってチャンピオンになる自信はある!
 

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