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XX年のヴィンテージバッドテイストな古着

今回のお題は「古着・ヴィンテージアイテム」です。そもそもヴィンテージ、アンティークってどれくらい古いものを指すの?なんて素朴な疑問も出てきそうですが。モノ(車、ワイン、時計、家具)によっても基準は違うし、歴史が長いヨーロッパに比べ、歴史が短いアメリカの方が(比較的)新しいものでも「ヴィンテージ」と呼んでしまったりと、地域によっても異なるようです。いずれにしても本来は「ヴィンテージ」と言う場合、ひとつの基準は100年だと、むかし大先輩に教えてもらいました。また、古着に関して、国は古いけど洋服の歴史が浅い日本では割と基準が曖昧です。僕が古着入門した1990年代の時点では「1970年代以降モノはレギュラー」と、いつの間にか刷り込まれた気もしますが…。それから20年以上経った今では、80年代以降のものでも平気でヴィンテージと呼ぶ世の中になっています。まぁ、冷静に考えたら80'sモノでも40年近くは経っているわけです。いまや90年代モノも市場価格が上昇しつつあり、僕が10代の頃は現行品だったものが「ネクストヴィンテージ」「グッドレギュラー」という名のもとに、古着屋ではソコソコのプライスで売られていたりします。90年代の後半から2000年代の前半にかけて多くのブランドが生産拠点を自国外に移したこともあり「今は無き○○製」といった感じでしょうか。更に、Martine Rose や BALENCIAGA といった、今をときめくデザイナー/ブランド達が「レギュラー古着をハイレベルな生地、縫製、パターンで作ったらこんな感じ?」なコレクションを発表したりするモンだから尚更「いま、時代はレギュラー」なのです。タテ落ち無き世界。ということで、最近のお気に入りは「ダメな感じの古着」。デザインも配色も、出来るだけダサくてチープな方がいい。ヴィンテージの風格とは対極にある貫禄のなさ、情けなさ。パープル×グリーンの発色がドギツイ90年代 Ralph Lauren のモックタートルはボーイズサイズのXL。Made in USA。肩幅が狭く、着丈が長い。極太・裏返しのデニムパンツを思いっきり腰穿きで合わせたら、細長い新鮮なプロポーションが完成しました。これで足元がスニーカーだと子供っぽいので、ミドリ色の Clarks デザートブーツ(90's、Made in UK)でコンパクトに。なんとも悪趣味です。もうひとつは同じく Ralph Lauren、スムース素材のポロシャツ。こんなの着てるヤツ、リアルタイムではいませんでした。子供の頃、図鑑で見た毒ヘビのように妖しいラベンダー×ターコイズ×ピンクのマルチボーダー。鹿の子ではないポロシャツがこんなにも頼りないものだとは。フララコを「豆大福」だとしたら、これは「うまい棒」レベル。ジャンク。しかし、クセになる…。って、ウディ・アレンのマルチボーダーポロ姿はあんなにも抑制の効いた趣味の良さと知性に溢れているのに、このザマは何だ!?いやいや、仕方がない、今はまだ。僕自身が「ネクストヴィンテージ」を目指すしかないのだ!自分自身が新しい価値を作るのだ!って、小豆相場よりも大暴落しそうな危険をはらみつつ、41年目の歴史へ突入した僕のミライは「バッドレギュラー」な予感しかしない…(笑)。