以前にも書いたとおり、僕はスニーカーをほとんど履きません。しかし先日、つい購入してしまったスニーカーがあります。ビームスの Fennica で販売している Keds の「 Champion Oxford 」です。同じ内羽根式スニーカーの Converse「 Skidgrip 」や Vans「 ERA 」に比べても細身のフォルムがひときわ優等生ヅラに見えるこのモデル。ERA が「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」悪ガキだとしたら、Champion Oxford は文系の学級委員タイプという感じ。で、その学級委員が突然、ガラスが割れる音とともに鏡の前で口紅を塗りたくり夜の繁華街へ繰り出し不良行為に手を染める…。そんなヤヌスの鏡のような変身願望含有二重人格的運動靴が今回の Keds です。優等生ヅラのくせにジャクソン・ポロックよろしく赤・青・黄色のワイルドでアクションなペインティングを施した Champion Oxford は、まるで高校デビュー男子のようなウソくささ。なんとダサくて愛らしいのでしょう!着こなしも勿論、ウソくさく。ビスポークの紺ブレに杢グレーのスウェットパンツ、ビシッとプレスしたレギュラーカラーのクレリックシャツ(裾出し)にストライプとグレンチェックのアイノコみたいなタイ。「 Non-Objective (非具象)」と刺繍が入ったヨレヨレのベースボールキャップはグッゲンハイム美術館のおみやげ物。LAMY の赤いボールペンをチーフ代わりに胸ポケへ IN。コーディネートとしては完全に破綻しています。こんなことを無性にやりたくなるのも春ならでは。1916年創業の Keds が当時に掲げたキャッチコピーは「静かに忍び寄る( Sneak )ことができる靴」、これが「 Sneaker 」つまりゴム底運動靴の語源だとか…。雪が溶けて川になって流れてゆく水にそのまま飲まれちゃって、ふと気づいたら忍び寄るポロックの狂気。もうすぐ春ですね。ちょっと気取ってみませんか?
REVIEW
手元で馴染んだオーダー品
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