梅は咲いたか、桜はまだかいな。早いもので2018年もふた月が過ぎました。暦の上では「春」。季節の移り変わりとともに「衣替え」の季節がやってきます。こと洋服屋に関しては、まだ気温が上がりきらないうちから春物を売り始めるので、お客様よりも一足先に衣替えすることになります。新入社員当時はセミがワンワンと鳴き散らかしている8月半ばにはコーデュロイやツイード素材に身を包み、汗だくで出社したものです。今思えば大いなる勘違い。入社から18年経った今では流石にフェードインすることを覚えましたし、2月の寒風吹きすさぶ中リネンのスーツを着たりすることはありません。この時期に重宝する合い着と言えばブレザー。Fallan&Hervey でビスポークしたウールサージ素材のソレは適度なフォーマル感と防寒性を兼ね備えながらも、白いボトムに合わせれば春らしさ満点。とはいえ巷はまだ2月。6ボタンのブレザーに Anatomica の10ボタンピーコートを羽織り、襟を立てながら北風の中を歩きます。手持ちコートの8割は膝丈、という僕にとってはコートがハーフ丈になるだけで少しだけ春に近づいた感じ。冬のマリンルック、と聞いて思い出すのはアメリカン・ニューシネマの佳作『さらば冬のかもめ』です。フレディ・マーキュリーの様な毛虫ヒゲを生やしたジャック・ニコルソンをはじめ、アメリカ海軍の男らしいマリンスタイルを存分に楽しめる映画です。フランスの帽子ブランド Beton Cire にある「 Nicholson 」というモデル名の水兵キャップは当然この映画に由来しているハズです。勿論、映画そのままにスタイリングしてもしょうがないので、僕の場合はストライプシャツ&オバさんのスカーフみたいなプリントタイ、肩からコットンニットを引っかけて、頭の上には昔ロンドンで買った Bernstock&Spiers のマリンキャップ(スウェット素材/ツバはエナメル素材)という軟派な出で立ち。ベトナム戦争という時代背景的にもニコルソンのピーコートは8ボタン、僕のは10ボタン。ポケットの内側もコーデュロイではなくモールスキン。まぁ、細かいことは置いといて…。ともかく、春はすぐそこ。手旗信号で「B(ブラボー)・Y(ヤンキー)・B(ブラボー)・Y(ヤンキー)・終わり」=「 Bye Bye winter (冬よさらば)」なんて。
REVIEW
手元で馴染んだオーダー品
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