98年、今度はコロンとしたフォルム、スケルトンブルーのローブで俺を騙そうったってそうもいかない。そんなことだけで君を好きになれと言われても俺の心の扉はなぜか閉じたままだった。
しかし2010年代、遂に君は俺の胸ポケットに飛び込んできたんだね。指先1つでなんでも言う事をききますだなんて随分と短期間で俺達に歩み寄って来たじゃないか。あのシロウト相手にコンピューター言語でまくしたててきた先生たちは何処へ行ったのだろう?デジタルが人にやさしくなると携わる人の職を奪う。ホントに皮肉な結果だ。
アナログが未だ心地いい俺だって、君が世界中の言葉を話したり、一眼並みの描写力で何でも憶えておいてくれる事くらいモチロン知ってるさ。君達が米TVドラマ『ナイトライダー』ナイト2000の K.I.T.T.みたいになる日もすぐそこだろうよ。人間が家族の他にコンピューターの相棒を持つ時代到来って訳だ。
指先操作すらいらない、会話で生活のアシストをしてくれる、そんな気の効く相棒。しかし君がブレードランナーのレイチェルの様なレプリカントの形になるまではさすがに俺も生きていないだろう。せいぜいタブレットの中の君を好みの容姿に設定するくらいだろうよ。
実はね、俺は君たちに期待してる事があるんだよ。人間の人生は日々二者択一を迫られる。そしていつしかゴールの日を迎える。神様からすればあそこの判断で先が決まっちまったな、なんてことがお見通しな訳だ。だから君に決定的なターニングポイントの時にキラリと光る第三の選択肢を耳打ちして欲しいんだよ。お知らせアラームやバイブは得意だろ?
思いもつかない選択肢が増えれば人生の深みが更に増すってもんだ。重大な判断の時の人間って、無意味に熱くなって選択を誤る。そしてそのフォローに数年の月日を使ってるんだよ。だからさ、いつでもクールなレイチェルから教えて欲しいんだよ。CROSS ROAD の先の未来をさ。おいおい、あくまで判断するのは人間である俺だぜ。それと、あまり張り切りすぎるなよ。君たちの能力が1つ上がる度に人間の職業が1つ消滅していくんだから・・・。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。