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STORY

ついに入手!伊丹十三『ズック生地のカバン』


師匠!苦節3年、ようやく手に入りましたよ!師匠とお揃い、師匠曰くの『ズック生地のカバン』を!永い道のりだったんですよ、なかなかコンディションの良いものが見つからず、何度購入をためらったか!迂闊な物に手を打たず待って良かった〜。だって、ほぼデットストックで掘り当てたんですよ。古い物なので、使う前に長年のホコリを洗い落とし、しっかり天日乾燥いたしました。師匠のおっしゃる通り、大きさが絶妙でボクの場合なら大きめのNIKON D3Xに28ミリのヴィンテージ広角レンズ、携帯、財布あたりでちょうどいいんです。斜めがけして体にしっくりくる感じです。師匠はこのバッグをアメ横で500円で手に入れたそうですね。71年10月号の雑誌『ミセス』の中ののぞきメガネの寄稿を拝読いたしました。そしてその時にアメ横で一緒に買った米軍放出のコート、jk、ユーティリティーシャツ、そしてこのズックの生地でできたバッグひと揃いで同じく71年放映のTV『遠くへ行きたい』に御出演されてましたよね?見ましたよ!伝説の神回『親子丼珍道中』!よっぽどアメ横サープラスがお気に入りだったんですね?考えてみればこれ71年ですから、まだアメリカから『CHEAP CICK 』も発刊前だし、全くサープラス物を日常で!なんて概念が生まれる前ですもんね。さすが先見の明でございます。銀座で舶来三昧の師匠がアメ横サープラスに心奪われるなんて素敵なバイヤー感覚です。なので今回師匠が買ってからなんと50年後同じものが手に入ったこの感動をこの手紙にしたためております。ボクもきっと飽きることなくボロボロになるまで使ってみようと思います。

師匠、差し出がましい様で申し訳ございませんが、1つ正させて下さい。この師匠の買われた500円のバッグ、エッセイでおっしゃっていたベトナム戦争時代の物ではございません。こちらM6 ARMY LIGHT WEIGHT SERVICE MASKと言って、実は第二次世界大戦時のガスマスクを入れるためのカバンなのです。皮肉なことにボクらは毎日マスクを付ける日々を送っております。対毒ガスではなく、対ウィルスと戦っております。師匠、天国からこんな僕らの日常、想像つかないですよね・・・?
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。