130フランと値札のシールが貼ってあるが記念にはがさずにおいた。
幾多の迷?勝負を生んだヴィンテージで、確かモントルイユで手に入れた。主に夏の夕方に楽しんだ記憶がある。
パリの夏至の日没はだいたい22時頃で、日本では考えられない様なダラダラと長い夕方が続く。
そんな曖昧な時間帯を使って毎年フェット・ドゥ・ラ・ミュージックという音楽祭がその夏至の日に行われ、世界中のストリートミュージシャンがパリに集結し、夜通し演奏するのだ。
気候も最高なこの時期、西日も落ち着いた頃を見計らって僕らは、カフェのいつもの席でこのギャモンに興じるのが常だった。
ゆったりとしながらも劇的に沈む夏の夕日にまみれながらゲームは続く。そしてエッフェル塔の電飾が際立ち始めた頃、ギャルソンがテーブルのろうそくに火を点してまわる。『 monsieur, fermé!』と声をかけられるまでは僕らの居場所だ。
だからこの時期ちょうどいい物はヴィンテージのバックギャモン。
僕らにとって、なにもしない、夏の休暇の象徴なのだ。




















