レオス・カラックス『ポンヌフの恋人』(1991)例えば「恋人」を「変人」と読み違えたまま観賞しても府に落ちてしまう位、気狂いじみた純愛映画。
同じくパリの真夜中を描いたウディ・アレンの最新作が脳内トリップで時代をまたぐ精神的ダイナミズムに溢れているとすれば、この映画はなんと肉体的で衝動的だろうか。花火が乱れ飛ぶポンヌフ橋の上でヨハン・シュトラウスに合わせて躍りまくるシーンは現代バレエも真っ青の躍動感に満ちている。精神を飛び越えて肉体が動き出したとき、人間は(一見、気狂いに思えるが)実はこんなにも美しい。心のままに行動するアレックスに、常識に縛られた僕らの感情が揺さぶられるのは、きっとそういう理由だろう。いまも解体されぬままの巨大セットを作り上げてまでこの映画を完成させたカラックスもまた、映画に対する純愛を貫き通した立派な狂人だと思う。『ホーリー・モーターズ』観に行かなきゃ。〈2013.5.12〉
キャロル・リード『フォロー ミー』(1972)既に観たことのある映画をまたもや気づかずレンタルしてしまった。最近はタイトルだけ見ても内容を思い出せないことが多い…。二度目にもかかわらず結構楽しめたのは、真っ白なステンカラーコートを身にまとったトポル演じるトリッキーな動きの私立探偵がランブレッタを乗り回しながら70年代ロンドンの街並みを案内してくれるから。ラビットカラーのシャツにニットベスト、って最近なんか気になるし。ロングポイントのシャツが前に流行ったのは自分の高校時代か。タートルネックやポロシャツも英国的な見え方してる。『探偵物語』の原点になった、なんて言われ方もしているようだけど、それを言うなら『ロング・グッドバイ』のほうが好みだ。ちなみにキャロル・リード監督の遺作らしいけど、話自体も悪くない。逆転の構図を生かした脚本がいい。とかグズグズ書いてたらもう4時だね。ギムレットにも遅すぎる。ロング・グッドナイト。〈2013.6.13〉
ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン『ノーカントリー』(2007)
借りてきた『エレファントソング』を観ようと思ったら、テレビで『ノーカントリー』をやってる。既に2回くらい観たことのある作品だけど、チャンネルの変え時を失ってわずか20分の間に無情な死体がどんどん増えていく。コーエン兄弟のディテールへの執着は異常だ。〈2016.6.15〉
ビリー・ワイルダー『麗しのサブリナ』(1954)
ジョージ・キューカー『マイ・フェア・レディ』(1964)
DVDで観賞、ヘップバーン尽くしの一日。
(自分が)若い頃は彼女の存在自体が王道すぎて何も思わずにいたけれど、年をとるにつれてヘップバーンの美しさに気づいた、という話を同世代の同僚に先日したところ「そうなんですよ!分かります!」と激しく同意された。少女と淑女の両面を持っているんだからズルい。つまり彼女は永遠だと思う。〈2014.6,24〉
改めて読み直してみて、我ながらバツグンに文章のとりとめがないと思う。映画自体のジャンルも年代もバラバラ。結局、自分が着る服の種類やコーディネートがバラバラであることにも見事に表れているので、つまり私は支離滅裂人間なのだと思う。それではまた、次回。バラバラと。














