ベルナルド・ベルトルッチ『暗殺の森』(1970)ジャン=ルイ・トランティニャンのスーツスタイルをはじめ、衣裳が美しい。少しあざとさも感じるがストラーロの映像もやはり美しい。そして当時まだ10代とはとても思えないドミニク・ザンダの恐るべき美貌。妖艶、美しすぎる。当時のゴダールとベルトルッチの関係性を踏まえて観ると、なんとも興味深い作品。〈2013.2.20〉
アッバス・キアロスタミ『オリーブの林を抜けて』(1994)
白シャツと白ソックスのマジック。純朴でシャイな青年が、より一層ピュアに見えた。この映画、衣装担当がいるのかな?役者私物かな?薄汚れたスーツに綺麗な白シャツ。もし意図的なスタイリングだとしたら、凄い仕事だと思う。「友だちのうちはどこ?」でのニットベストも可愛いし、やっぱりいるのかな。作品自体は映画制作の映画、という「アメリカの夜」や「カメラを止めるな」的メタ構造。それにしてもラストの7分間は色んな意味でモノ凄いね。長い余韻。〈2019.6.10〉
アニエス・ヴァルダ『幸福』(1965)なるほど映画は写真の連続だ、と思わせられる全編美しいシャシンの連続。またはルノワールの絵画の色彩。〈2018.8.10〉
ロバート・アルトマン『バレエカンパニー』(2003)
リビングで夜中にアイス食いながら観賞。少し前に「ブラックスワン」、ずいぶん前にヴェンダースの「Pina」を観た時にも感じたけど、例えばバレエに象徴される生身の肉体の美しさや躍動感を前にしたとき、洋服は敗北する。アイス食いながらゴロゴロしてる洋服屋が言うんだから間違いないんだけど、それでも登場人物の洋服を目で追ってしまう(グレーのタートルネックいいな、とか)悲しさ、とか。〈2015.10.10〉
マーク・ロマネク『わたしを離さないで』(2010)
帰宅後に「カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞受賞」ってニュースを見た。もうボブ・ディラン騒ぎから一年も経ったのか、とか思いながら。僕はカズオ・イシグロの作品を活字で読んだことがない。原作が映画化された2作品を観たのみ。ひとつはアンソニー・ホプキンスが戦後の世界に取り残された執事を演じる「日の名残り」、もうひとつは5~6年前に映画館で観た「わたしを離さないで」。この2作品は大好きで、特に後者。キーラ・ナイトレイやキャリー・マリガンが臓器提供のために産まれてきたクローン人間を美しく演じていた。刹那。
ノーベル賞の選考委員会は今回の受賞に対して「カズオ・イシグロ氏の力強い感情の小説は、私たちが世界とつながっているという幻想に隠されている闇を明らかにした」とコメントしている。
そう、僕らは世界とつながってなんかいない。全然つながっていない。SNSなんて幻想でしかない。世界という大海原に投げ出されたちっぽけな小舟のようであり、だからこそ少なくとも確かに目の前にいる人に向かって願う。わたしを離さないで(Never let me go)と。〈2017.10.5〉
好評ならシリーズ化しますが、不評なら直ぐに打ち切ります(笑)。あるかどうかも分からない次回、お楽しみに??














