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STORY

ヨコシマなソックス

今日はソックスの話。靴下って、ついつい増えてしまいがちなアイテムですよね。「あの服に合わせて…」とコーディネートのことなどイチイチ考えず、単品で「これ、イイな」と思ったものを、軽い気持ちでチョコチョコ買うからでしょうか?消耗品だしね、なんて言いながら。そんなこんなで気づいたらタンスの中で異常増殖してしまったのがコチラ。

Corgi のソックスたち。一部です。Corgi と言えばアーガイル柄のソックス。ブルックスブラザーズのアーガイルソックスを作っているメーカーらしいよ、という触れ込みから日本では広まった…らしいです。思えば当時の日本人にとってブルックス ブラザーズは、欧州で言うところの HERMES 的存在だったのかもしれません。「あそこの○○を作っている××というスゴいメーカーが△△にあるらしいよ」とか言いながら、(靴やシャツ、パンツなどの)専業メーカーを探し当ててきたわけですから。さておき、僕が所有している Corgi のソックスはアーガイル柄ではなく、ご覧の通り「横縞模様」ばかり。ボーダー柄とは言わずに、Horizontal Stripe と言うべきでしょうか?写真のソックスたちはすべて、既存の Corgi とは一味違います。日本が世界に誇るドが付く変態ブランド(注:リスペクトを込めています)、CLASS のデザイナー堀切氏が監修したもので、氏独自のフィルターを通した絶妙な配色、その発色を最大限生かすために素材をマーセライズコットンに変更、さらにレングスを通常よりも少し長くした特注品。ついつい買い集めてしまいます。

前置きが長くなりましたが…。僕にとって、横縞模様の靴下と言えば「ユロ伯父さん」です。

自宅に飾っている映画「ぼくの伯父さん」のパンフレット。裏面にはフランス語の解説文あり。10年以上前にパリ・クリニャンクールの蚤の市で「1950年代公開当時のものだ」と聞かされて、25€(高い?)で購入しました。このイラストでも、ユロおじさんの足元にはトレードマークの「横縞模様」ソックスが。

「~と言えば」で語られるスタイルアイコンに憧れてついつい…とは若気の至りならずとも、よくある話で。ウインザー公と言えば、カート・コバーンと言えば、ジャンニ・アニエッリと言えば、アラン・ドロンと言えば、ジョン・レノンと言えば…。
「ユロおじさんのように飄々と振る舞いながらも、純粋無垢な少年の心とウィットとユーモアを武器にモダニズムに毒された現代のスノビズムを破壊したいのである、小生も」な~んて下心を持って、シマシマの靴下を履いていたら、当時まだ3歳くらいだった娘に「チェックのズボンにシマシマの靴下、ヘンなの~」とか言われたりして。どうやら僕の場合、「ぼくの伯父さん」よりも「変なオジサン」の方がよっぽど近いようで…。

Satoshi Tsuruta

NEJI Organizer鶴田 啓

1978年生まれ。熊本県出身。10歳の頃に初めて買ったLevi'sをきっかけにしてファッションに興味を持ち始める。1996年、大学進学を機に上京するも、法学部政治学科という専攻に興味を持てず、アルバイトをしながら洋服を買い漁る日々を過ごす。20歳の時に某セレクトショップでアルバイトを始め、洋服屋になることを本格的に決意。2000年、大学卒業後にビームス入社。2004年、原宿・インターナショナルギャラリー ビームスへ異動。アシスタントショップマネージャーとして店舗運営にまつわる全てのことに従事しながら、商品企画、バイイングの一部補佐、VMD、イベント企画、オフィシャルサイトのブログ執筆などを16年間にわたり手がける。2021年、22年間勤めたビームスを退社。2023年フリーランスとして独立、企画室「NEJI」の主宰として執筆や商品企画、スタイリング/ディレクション、コピーライティングなど多岐にわたる活動を続けている。同年、自身によるブランド「DEAD KENNEDYS CLOTHING」を始動。また、クラウドファンディングで展開するファッションプロジェクト「27」ではコンセプトブックのライティングを担当し、森山大道やサラ・ムーンら世界的アーティストの作品にテキストを加えている。