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STORY

XL寸限定・発表年度限定の『パタゴニア・フリース服』あれこれ。

うちの元スタッフがよく言ってました。ボクは絶対にパタゴニアを着ません!と。ひとたび袖を通せば余りに楽で暖かく、動き易くて家庭洗濯OK、そしてそこそこのオシャレ感も担保されている・・・。そんな素晴らしすぎる服に身を投じてしまったら、いつまでたってもこたつから出られないような自堕落な人間になってしまうのではないか?26歳男のリアルな悩みです。なるほどね。解らなくはない。極北のフィールド対応なアウトドア服なのに、東京で着ればこたつですもんね、パタゴニアって。重たーいだけのメルトンコートや全く暖かくないライダースJK、シルエット最優先のモード服から知らず知らずのうちに遠のいてしまう自分が怖かったんでしょーね。

実はこの元スタッフとの会話は2000年ちょい過ぎ頃の思い出なんです。故にあれから20年弱が経ち、ボクの中で久しぶりに忘れかけていたフリースブームが訪れたんです。いっときフリースって、ファストファッションの代名詞になって完全に機能を持った道具服になりましたよね。なのでだいぶ永きに渡り、わざわざ着る気がしなかったんです。しかしそれから十余年、巡ってきましたよ、フリースのビッグウェイブが!!ってことで実家倉庫にある90年代後半の懐かしいベスト等を着てみと・・・!全然ダメでした。社会的に正しすぎるんです、フォルムが。当時のマイサイズはSでした。パタゴニアのSは日本のMとLの中間くらいのサイズ感なので、ジャスト寸で着るとファッションではなくエキップメント(装備服)に見えてしまい、環八から外へ出ない人間が着ることとの整合性がつかないんです。 モチロン26歳の奴の話も頭の片隅に残ってますし・・・。


そこで仕切り直してルールを決めて古着屋さんで探しまくったんです。そのルールとは、(1)88年〜94年の間に製造されていること。これはパタ通の間で語られている神話で、この時期のデザイナーがなかなかの切れ者で人気の神カラーリングはほぼこの時期に集中しているとのこと。(2)購入サイズはXL限定。パタゴニアのXLはなかなかの巨大サイズでヴェトモン心を満たすにあまりあるモード感を醸せるんです。(3)寒さ対策としてのグリセードモデルをチョイス。表はレトロパイルXで裏に薄手のナイロンを張ったリバーシブルのタイプはグリセードと呼ばれており、北風が吹いてもOKな着心地なんです。いゃー、調子にのって3着立て続けに買っちゃいました。コンディションが良い普通サイズなら4〜5万なんて値が付くこのジャンル、XLは盲点で3着ともアンダー1万円で入手しました。確かにこのカラー、常識的には出せない圧倒的な美しさがあります。この雪無しネームのグリーンとブルーの中間色とかネイビー×ミントの縁パイピングが真っ赤とかね・・・。コーディネイト的にはボトムはセルフカスタムの501テーパード仕様&腰に BIGMAC のボロボロネルシャツをまいてオレゴン魂スタイルがお気に入りです。
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。