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STORY

どこまでも、果てしなく甘く。




このレコードを築150年のアパルトマンで幾晩聴いたことだろうか?

ボロボロのTEPPAZポータブルプレイヤーに60年代の音源を乗せる。とたんに紙製ウーファーから歪みまくった当時の響きが部屋の空気を震わせる。

演じているのはヴォーカル・チェットベイカー、ギター・ケニーバレルの2人のみ。本来、ケニーバレルはハードバップなギタープレイヤー。それがソロプレイとなると、つま弾く音はまさに柔らかな水面。その海面スレスレをチェットの極甘ヴォイスが漂い広がる。

オーディオ界では『心地よい温泉に浸かっている感覚』とよく揶揄される夢の様な音空間。ハイエンドシステムが必ずしも正解とは限らない。あの部屋の空気が再現出来るわけではない。

今夜もTEPPAZノイズに包まれて、ゆっくりと、ゆっくりと・・・・。AM4:12 setagaya TOKYO
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。