以前、友人から90年代にフルオーダーしたナポリ仕立てのシャツを借りた話は以前 Amvai で語らせていただきましたが、ついに、自分なりのアンサーソング的な1枚のホワイトシャツを完成させました。その時のアンナのシャツってとても風通しが良かったんですよね。普段から皮膚呼吸が出来なくなりそうなブロードシャツはちょっと苦手な自分なので、この柔らかな糸質と織り組織は衝撃的でした・・・。ここでいつもならヨーロッパの歴史あるテキスタイルメーカーの生地を当て込むところですが、今回、目をつけたのがインドの手紡ぎ&手織りの生地『カディー』です。電力を全く使わない、かのガンディーが考案したとされ、インドでの貴重な現金収入の手段として未だいくつかの村で作られている究極のハンドメイドであり、素朴の極みのようなテキスタイルなのです。インドの暑さは言うまでもなく、また海沿いのナポリもヨーロッパとは言え、行ってみると結構多湿だったりするので、さらに東京を加えて3つの国の物作りを合体させてみた訳です。90年代ナポリの女性的なブラウスの様なシャツの型紙を使って、インドの手紡ぎカディーを、東京でシャツを仕立てる、そんな企画・・・。そして出来上がったのが写真の様な逸品。普段からイタリア製品を嗜好されている方には違和感があるかもしれませんが、このシャツ、ある意味 BIG MAC のネルシャツのように着倒せるヘビーデューティーな1着となったんです。こんなシャツ見た事ありません。アンナ・マトッツォのブラウス的なギャザーのせいか、どことなくビクトリアンな貴族趣味にも見えなくない、またフィルムノワールな頃の労働者っぽくも見て取れる、着る側のイマジネーションを刺激しまくる質感です。肉厚なのになぜか涼しい、不思議の国のナポリタンシャツ、来春スロウガンよりお披露目となります。乞うご期待!アンナは手まつり、カディーは手紡ぎ・・・。
1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。