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STORY

サム・クックとHOLLYWOODガム

山下さんから飴とエヴァンスの danny boy が飛んできたので、ボクからは HOLLYWOOD のチューインガムと1957年のサム・クックの danny boy テイクを。
このレコードはホントに良く聴いた。溝が透ける程聴いた。ソウル・スターラーズ時代から撃たれるまでで一番好きな KEEN 時代の1st 。そして忘れられないどうでもいい思い出が1つ。
パリで知り合って交際にまで発展した日本人カップルが、ボクのアパートまで遊びに来てくれてカレーを作ろうということになり、映画アメリに出てくる八百屋、肉屋をまわって材料を買った。ルーは日本から送ってもらっていた秘蔵のバーモントカレーがあった。作り始めた時はまだ夕方前だったのにいい香りがし始める頃は夜になっていた。
仲良く調理する擬似夫婦に気を使いながら窓辺でこのレコードをエンドレスにかけるのがボクの仕事。名盤だなーと感心するのはボクだけで2人は2人の世界に行ったっきりだった。だから 今でもサム・クックのこれを聴くと何処からともなくカレーの香りが漂って来る。沈む夕日を眺めながらのエンディングの3曲、 So Long, Danny boy 、そして That lucky old sun も気付けば3周目だった。仲睦まじい疑似夫婦の背中、ボクと歪んだサムの歌声。バーモントカレーと1人DJ、そしてパリの夜景。ただそれだけの夜だった。(3枚目の写真はボクのピガールの部屋から撮影。日没直後の紺色の夜景。)

それと塊炭飴のお返しで、サムのくち元ヨコに HOLLYWOOD ガムの画像を貼っておきました。キオスクやスーパーのレジ横で売っているフランスで最もスタンダードなガム。歯磨き粉のようなその味は3分と持たない。ポケットに入れておくと銀紙が容赦なくくっついてくるのが特徴。それをきれいに取ってあげるのは彼氏の仕事。これもパリのスタンダード。






Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。