フレンチメイドの車好きの間でよく耳にする言葉で『プラスチッキー』と言う物があります。日本語として正しいかは林修先生に聞かねばならぬが、割と主要なバーツで、否が応でも目に入ってきてしまう物を敢えてプラスチックで済ませるフランス人の謎の感性、及びそれを肯定的に認めながら軽くイジるスタンスとでも申しましょうか?分かりやすいところでは、シトロエンのBXが最たる例です。デザインは完全にガンダムで80年代のフランス人が考えるまさに宇宙船スペースシップを感じさせるディテールデザイン!その無理筋造形を支えているのがマットなプラスチックパーツの数々なのである。例えばドイツ人ならチタン、英国人ならローズウッドで行くところをフランス人は当然プラスチックをチョイスする。たかが乗り物に何をイキってんだよ?機能を果たせば材料なんてなんだっていいじゃん・・・このわがままスノビズムがフランス式エスプリであり、ヌケ感、あえてベストを尽くさない余裕みたいなこの感覚が変態フレンチデザイン愛好家達を魅了して止まないファクトとなっているのでした・・・。ルーブル美術館を維持する国民からは想像のつかないナゼ?ですよねー。話は変わりまして、我が小林家は車を新調いたしました。当然中古でございまして、ただ今納車前メンテナンス中でございます。車種は英介さんと同じルノーカングーで20年落ちの2002年製造7万キロ、1.4lのAT車。そしてリヤが観音に開く前の不人気ハッチバック、オマケに最も売れなかったオーシャングリーン色なのです。正確にはミレニアム前後に流行ったメタリックカラーですね。
何故またルノーキャトル に続いてこのようなイバラの道を歩むのかと申しますと、モノ選びのタイミングで必ず頭をよぎる、不人気に勝るプレミアムは無い!こんな思想があるからなのです。もし、それを流行歌に例えるなら、耳障りのいいキャッチーな曲はボワッと火は着くが鎮火も早い。逆に難解な記号だらけの楽曲はじわじわ染み込んできて結果人生を共にする時間も長い、そんな感覚。
だからちょっと謎めいていて、少々理解ができず、それでもモヤモヤ気になって仕方が無くなるようなデザイン物、コレがボクの購入動機に直結したツボなのでしょう。突き抜けたマイナス要素はいずれ大輪の華のごときプラスに転じる・・・そんな数十年後に理解が追いつくプロダクト、この辺を狩ろうと思えばやはりフランスが宝庫なんですよねー。
そしてボクの選んだ2002カングーも完全にこの立ち位置。今ではボロボロ個体しか残っておりませんので、たまたま名古屋でまーまーの個体との巡り合いを機に、今回は板金から着手、味の出たプラスチックパーツは当然放置で最高のあるべき姿のフレンチデザインを目指し、只今仕上げ中なのです。
初代カングーの特徴であるフロントデザインの眠そうな目は、90年代トゥインゴ辺りを祖とする脱力系ファニーフェイスからの流れで、日本でも日産パオとかフィガロなど流行りましたよね?パリも当時はトゥインゴだらけでした。この流れからすれば2002カングーのフレンチファニー顔は一連の最末期デザインと見るべきだと思います。そして、その後のカングーのデザイン展開はボクにはあまりフランスっぽさを感じないんですよねー。2010年以降って良くも悪くもグローバルなデザインになってしまって日産もルノーも似たり寄ったりでしっかりできちゃってる感が日本っぽいのかなー。キャトル直系の業務用感も2002までかなーなんてね。今はシトロエンがデザイン的に暴れてますね。
とりあえず新人くんの為にキーホルダーは2つ用意してみました。ブルボンの60年代旧ロゴRENAULTの黒金タイプともう1つは同じく60年代RENAULT Dauphin用のモチーフの入ったレアな奴デス。納車された暁には克明にレポートさせていただきまーす。


















