
結果として、いままで目を通していた輸入のバンチではなかなか出てこないような面白い生地に数多く出会うことができた。そしてご覧の通り、所謂「ビジネスウェアとしてのドレスシャツ」には無い、洋服好きに刺さるセレクションが完成した。全体的にイメージしたのは「CHICAGOのワゴンで1000円均一で売ってそうな、70’s以降のレギュラー古着にありそうな、切なく枯れた色柄」をあくまでもハイクオリティで表現したもの。写真の他にもタブカラーのモデルなどを含め計13型をピックアップ。下段の2型は今シーズンの新モデルで、二度のサンプルチェックを経て作り上げた渾身のロングポイントカラー。せせこましく窮屈なタイスペースがなんとも新鮮である。
マスタードイエローのラウンドカラーは麻12%をブレンドしたコットン×リネン。この日は紙繊維のカーディガンやAscotのシルクニットタイでザラっと合わせている。
新型のロングポイントカラーは過剰なパターンオンパターンで。Atkinsons製アイリッシュポプリンのナロータイをはじめ、チェックのすれっからしたトーンが今の気分。
ネオンな発色がまぶしいマドラス調チェックのラウンドカラーシャツは、CHANEL調サマーツイードのブレザーとグレーパンツでまとめても良い意味ではみ出してくれる。 ビーズネックレスを足した分だけ、Hermèsのナローなニットタイでシャープに。
主役級マルチストライプのロングポイントカラーはそれ以上にマルチなストライプのヴィンテージラグベストを合わせて脇役扱い。狭いVゾーンにHermèsのカチナ柄プリントタイを更に詰め込んだ、マキシマムコーディネート。結果的に、すべてタイドアップコーディネートになった。いや、今のご時世、ネクタイなんて頼まれてもしたくない人が俄然増えているはずだけど、僕の場合は頼まれもしないのにほとんど毎日ネクタイをしている。別に意固地になっているわけではなく、これはもう好みの問題でしかない。たしかに「仕事だからシャツ+ネクタイ」という概念はもはや絶滅の危機に瀕している。しかし、これだけ特徴的な襟型&柄のドレスシャツが一定数売れ続けているということは、「ジャケットやカーディガンのインナーは白無地のTシャツでサラッと…だなんて、真っ平御免っすわ!」な好事家が一定数存在するという事。ありがたいことに、そんな人たちに支えられながら、毎シーズン僕は薄ら笑いを浮かべつつ会議室で大量の生地に埋もれ続けているのである。
ところで、必要な分しかモノを持たないというミニマリストが時代と共に増えているが、場合によってはシャツ+タイの方が持ち物をミニマルに出来ると思うのは僕だけだろうか。例えば20日間、毎日違うVゾーンをコーディネートする場合。Tシャツだと20枚必要だけど、ネクタイ3本(黒ニットタイ、ネイビーのストライプ、ネイビーのドット)×シャツ7枚で21パターンってのもアリだったりして。しかもネクタイって、Tシャツと違って捨てないし。まぁ、そもそも「なんで毎日違うカッコしないといけないんだよ!」って罵声が聞こえてきそうな気もするけど。飽き性な方こそ是非、お試しあれ。シャツ+タイコーディネート。毎日発見がありますよ。














