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STORY

たった10着の記念の品。


お陰様を持ちまして、我がAUBERGEチャンネルの登録者数がもうじき1万名様に到達致します。ありがとうございます。これを機に何か記念アイテムをお作りしたいなーなんて先月辺りから考えておりました。そしてザックリしたコンセプトが決まりました。

①製造するのは10着のGジャン。
②本物の材料を使う。
③絶対に量産出来ない物にする。
④ボクにしか出来ない物にする。

実は詳細は動画を撮っていて現在編集中なのです。この4つのコンセプトに思いを巡らしていると、上のタイトル写真の2人が急に頭を過ぎったんです。
右、ダニエルジョンストン そして左、ジャン・ミッシェル・バスキア。心と体と筆を持つ手が完全に分離してしまった天才。子供のハートのまま作品を量産した奇跡のアーティスト・・・。晩年のピカソに『天才の定義とは?』と質問すると『あなたの隣にいるじゃないですか!子供達の衝動こそがそれです。ボクはこの年になってようやくうっすら子供達の背中が見えてきました。』と答えたそうな。

憧れるんですよねー。売り上げとか回収とかストレスの中で物づくりをしていると、自分のやりたい作品の本質が果たして今の手法で保たれているかな??とかね。まぁ一点物のファインアートと量産プロダクトの違いこそあるので、同じ土俵ではないんですけどね。あまりに無機質で便利なファストファッションが強いんでねー。柄にも無く大人っぽいことを考えているとダニエルやバスキアの様なヘタうまロウブローに心が震え出すんですよね・・・。なので今回は前代未聞のロウブローソーイングに挑んでおります。

写真手前は約100年は経過している明治時代に作られた手織り、本藍手染めの野良着用生地のデットストックです。これを、こちらもフランスの100年は経過している麻糸でフルハンドでつなぎ合わせております。ナポリのフルハンド・シャツとも違う、攻めのハンドソーイングです。結構ミシンでさらっと縫うのとは違って良くも悪くも念が入ってしまうんですよね。上手くコントロールしないと服を超えて怖さが出ちゃうんです。SLIP KNOT的な・・・。このロウブローソーイングの賢者で90年代頃から活躍されているフランスのA.P.Cがらみの方でジェシカ・オグデンさんって方はセンスの塊だったりするんですよね。止め所が上手い、やりすぎない美、ファッションとしてゴールさせるセンスってところでしょうか?

さて、どんな作品に仕上がるか?乞うご期待。現在11月3日、朝の4時、チャンネル登録9463名様・・・間に合うのか?納期に弱いロウブロー・・・。
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。