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STORY

フレンチ・プロダクトの美男子たち その1 『Peugeot Le Ric de Luxe 後期』


昭和生まれの日本人にとって『フランス製』と言う響きは、何物にも変え難い、完全にマウントポジションを決められるフレーズだ。例えばオレンジの箱のエルメス。うーん美しい。世界最強の色識別能力を持つ我々日本人から見てもフランス製エルメスのカレ(スカーフ)の色構成はため息物。革製品も当然芸術の域であり、そのお値段も最近では宇宙的なゼロの数を有する。

シャネルも然り、世界中の女性のハートを鷲掴みにしてそろそろ100年を迎える勢いだ。エレガントとリュクスとちょっと可愛らしさを覗かせるそのフレンチデザインはガブリエル没後も不滅なのである。ではメンズのフレンチファッションアイテムは??実はこの答えが実に難しい。いくらでもありそうなのに何か決定打に欠いてしまう。アメリカの501、イギリスのバブアーみたいな男くさーい、フランスの歴史・伝統を象徴した様なメンズファッションアイテムと言われても、すぐには頭に浮かばない・・・。

しかーし!ことプロダクトデザインに目を向けると?!?!あるではありませんか!謎のど変態デザインが!例えばシトロエンのDS、エアフランスのコンコルド、腕時計のLIPのマッハ2000etc etc・・・。時代の寵児と思っているのは自分達だけで振り向けば一人の早すぎたプロダクト達・・・。


はい、そんな前のめり系フューチャーデザインのフレンチデザインがビンビンに盛り込まれたこの写真のアイテム、買っちゃいました!ずーっと探してたんですよねー。これ手動のコーヒーミルでございます。自動車で有名なプジョー製(元々は歯車やさんからのスタートなので塩、胡椒のミルなんかにもこのライオンマークが多く見受けられますよね)、名前はLe Ricと申します。

初代は1936年製から39年まで、後期は50年から翌51年まで作られておりました。短命ですよねー。本当は広告の様な初代でグリップが角ばった、よりアール・デコを感じるモデルを希望しておりましたが実用に耐えうる個体はほぼ無く、大概ボロボロなのでした。
なのでこの度は後期タイプのミントコンディションをいかせて頂きました!!木製アール・デコ、いかがでしょうか?ボクには有機的なゴジラに対してフルメタルのメカゴジラの衝撃を感じるんですよね。いやいやそれだけでは無くそのメタルデザインを全てブナ材の無垢でイってしまうところ辺りフレンチなんですよねー。豆もしっかりエスプレッソ対応な位微細にも挽けます。男の道具・MEETS・アール・デコって感じで見ていて気持ち良い逸品でございます。

Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。