取材で彼らとお会いするたびに不審がられるほどに凝視して、おぼろげながらわかったこと。それは、Vゾーンの達人は総じて「襟の表情が柔らかい」ってことだ。基本的にカラーキーパーをつけず、もちろんアイロンは自分でかける。仕上げに襟先をちょちょいと触って雰囲気づけしているようなのだが、そのへんの塩梅は秘伝のワザってことで、詳しくは不明! しかし、襟に表情をつけるためには、襟先がスーツに隠れてしまうワイドカラーよりも、レギュラーカラー、それもロングポイント気味のヤツがよさそうである。なかでも赤峰幸生さんがいつも着ているドレスシャツが格好いいんだよな〜。
こういったロングポイントシャツって最近の既製品ではほぼ皆無なのだが、捜索の末、 GINZA SIX にあるドレイクスで発見した。クリーブ・オブ・ロンドンにつくらせたというそれは、ターンブル&アッサーなどほかの英国シャツと較べるとソフトな仕立てで、カーブもきれいだし襟に表情がつきやすい。ロングポイントといってもちょっと長めのレギュラーカラーといった程度のものなので、もちろん30’sコスプレに陥る心配はないだろう。これをリベラーノのスーツに合わせたら、10年分くらい年季の水増しができるかもしれない。ちなみにこの襟型、来季は某大手セレクトショップがガッチリ買い付けているそうだから、今のうちに手に入れておいたほうがいいかもよ?
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
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