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技がつまった、秋冬シャツ熟練のロングポイントシャツ

スーツはリベラーノ&リベラーノのビスポーク、シャツはフライ、ネクタイはシャルべ・・・てな具合に一流モノばかりを買い漁ってきたのに、なんだかタイドアップスタイルが決まらない。Vゾーンがしっくりこない。たかだか月に一回ネクタイを締めるかどうかというひよっ子が、ネクタイに人生をかけた男たちにかなうわけもないのだが、赤峰幸生さん、白井俊夫さん、加賀健二さん、フランコ・ミヌッチさんといった尊敬すべきクラシコ師匠たちのVゾーンと較べると、僕のは圧倒的に奥行きというか深みがなくて、薄っぺらいのだ。彼らに聞いたら「あと20年は練習しろ」なんて言われてしまいそうだが、怠け者の僕はついつい〝裏ワザ〟を探してしまうんだな。
取材で彼らとお会いするたびに不審がられるほどに凝視して、おぼろげながらわかったこと。それは、Vゾーンの達人は総じて「襟の表情が柔らかい」ってことだ。基本的にカラーキーパーをつけず、もちろんアイロンは自分でかける。仕上げに襟先をちょちょいと触って雰囲気づけしているようなのだが、そのへんの塩梅は秘伝のワザってことで、詳しくは不明! しかし、襟に表情をつけるためには、襟先がスーツに隠れてしまうワイドカラーよりも、レギュラーカラー、それもロングポイント気味のヤツがよさそうである。なかでも赤峰幸生さんがいつも着ているドレスシャツが格好いいんだよな〜。
こういったロングポイントシャツって最近の既製品ではほぼ皆無なのだが、捜索の末、 GINZA SIX にあるドレイクスで発見した。クリーブ・オブ・ロンドンにつくらせたというそれは、ターンブル&アッサーなどほかの英国シャツと較べるとソフトな仕立てで、カーブもきれいだし襟に表情がつきやすい。ロングポイントといってもちょっと長めのレギュラーカラーといった程度のものなので、もちろん30’sコスプレに陥る心配はないだろう。これをリベラーノのスーツに合わせたら、10年分くらい年季の水増しができるかもしれない。ちなみにこの襟型、来季は某大手セレクトショップがガッチリ買い付けているそうだから、今のうちに手に入れておいたほうがいいかもよ?