ブームは『 TAKE IVY 』の逆輸出と復刻を頂点にして次第に落ち着いていった感じでしたが、それでも『 BRUTUS 』のファッション特集や『 Free&Easy 』等、アイビーやプレッピーへのリスペクトは続いていました。時期を同じくして流行した「ストリートスナップ」は、ティーンよりもミドルエイジに注目し、“トラッド拡散” の後押しになったのではと思います。素足にローファーとか、それまでは某トレンディ俳優の名をもって揶揄されたスタイルも、この流行のお陰でかなり一般化されたんじゃないでしょうか。ボタンダウン、ニットタイ、クラッチバッグ等、そのテのアイテムが「スナップ」を通じてグッと身近になったように思います。
当然ながら、それらは自分の普段着にも影響しました。ブルックスのブレザーにセバゴのローファー、そしてヘアスタイルは横分けで、今っぽくというよりはややコスプレ寄りではありましたが。これではあんまりだなと思った夏のある日、目をつけたのがこの「 GUNG HO 」のカモ柄ショートパンツ。多分これも何かのスナップ記事で見かけて気になったんですよね。白シャツ&ローファーのトラッドスタイルに抜群のハズシアイテム。見るからに無骨なアメリカ製は、当時のキーワード「ラギッド」そのもの。2、3年前までホントにヘビロテで穿いてましたね。世間的にも2014年あたりは迷彩柄の小ブームがあったかと思います。“トラッドからのドレスダウン” という流れがあったと捉えていいんじゃないでしょうか。
そういえば今月、W・デーヴィッド・マークスさんの本『 AMETORA 』待望の日本語版が出ました。日本で独自の進化を遂げた “アメリカントラッド” について、膨大な過去の資料と多くの当事者への取材によって解説した本です。今回のテーマである “迷彩” もそうかもしれませんが、料理が難しいアイテムに興味を持ったとき、その視覚的なものやブランド名のみでなく、その根底や歴史を知ることで自身のコーディネートへの “裏づけ” にするのもアリなのではないでしょうか。オタク的ではありますが、そうして日本人は「洋服」をモノにしてきたのかもしれません。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
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90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
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