昨年くらいまで、スーツやジャケットのインナーには、ほぼ毎日「ジョンスメドレー」のニットポロを合わせていた。もちろん買うのは決まって、襟の剣先の長いクラシックなやつ。今ではレトロポロというトレンドアイテムになっているが、こいつを買いはじめた2010年あたりは、ジョンスメドレーの旗艦店でもセレクトショップでもなかなか手に入らず困ったものだ。当時はなぜか〝モダン〟という打ち出しで、襟の小さいモデルばかりがプッシュされていたのだが、僕のようなムチムチ系の中年が着るとこれがぜんぜんモダンに転ばず、むしろオッさん臭く見えてしまう。長襟タイプは普通なかなか手に入らないため、ロンドンの老舗ニット屋さんやネット通販などで、コツコツと買い貯めたものだ。
そんな時代を経て、今やどこのショップでも長襟のジョンスメドレーを扱うようになった2017年。しかしトレンドになってしまうと、それはそれで不満。ほかでは売っていないようなモノがほしくなってくる。
そんなときに、原宿にある行きつけのショップ「ブライスランズ」で出会ったのが、こちらのニットポロ。ブラウンとライトブルー、ベージュというちょっと変わった配色のボーダー柄や、前立てに飾られた4つのボタンは、クラシカルではあるが決してオッサン臭くはない。「 RUNABOUT 」というブランド名に見覚えはなかったが、 MADE IN USA で13,000円程度という手頃なプライスにも驚き、即購入した。早速家に持ち帰って素肌の上に試着してみると、おや、この肌触りは・・・。気になって製品表示をめくってみると、図星! やはりアクリル100%だった。
正直いって一瞬ちょっとがっかりしてしまったのだが、「リベラーノ&リベラーノ」でオーダーしたベージュのリネンスーツと合わせてみたところ、「これはこれでアリだな・・・」と思い直した。ジョンスメドレーであればどうしても英国くさくなるところ、こちらのニットポロの場合1930〜50年代の西海岸といった趣で、なかなかに粋なのだ。単なる安物とバカにするべからず。最近は化繊によって表現されるクラシック感に注目している。
心奪われた夏のシャツ掟破りのアクリル100%! RUNABOUTのニットポロ
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