しかし冬のヨーロッパを歩くと、ハリスツイードのジャケットを無造作に着るイギリス人、アルニスのジャケット「フォレスティエール」にパープルのストールを合わせているフランス人、シュナイダーのローデンコート姿で杖をついたドイツ人など、グリーンを格好良く着こなす紳士(主に老人)によく出くわすから羨ましい。こういうものは、つくづく「森の文化」の服なのだなあ、と思わされるのだ。
そんなわけで普段はあまりグリーンを着ることはないのだが、3年前の石垣島ロケで撮影したエルメスのTシャツにはしびれてしまった。リネンとコットンを混紡したシャツ生地で、当時としては珍しいビッグシルエット。南国のとろんとした空気の中、マングローブの森とエメラルドグリーンの海に溶け込んだこの色は、なんとも言えないムードがあった。約6万円とTシャツとしては相当高額だったが、これは買わずにいられないでしょう!
さっそくエルメス銀座店で購入し、アーツ&サイエンスの白いコットンパンツとジャコメッティのグルカサンダルをコーディネート。鏡の前にいたのは手術着姿の医者、もしくはカイロプラクティックの先生であった・・・。結論、やはりグリーンは難しい!
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。