Fit in Passport に登録することで、あなたにフィットした情報や、Fit in Passport 会員限定のお得な情報をお届けします。

ページトップへ

パーティのための男の装いエルメスのヴィンテージタイ

いわゆる「ファッションディレクター」という肩書きを持っている人間の中で、おそらく僕が世界で一番地味な生活を送っているだろう・・・と確信するほどに、飲みに行ったり会食する機会は少ないし、夜遊びにも縁がない。残念ながら僕に豊富な人脈とかを求めても無駄ですから! だからこそ、ごくたまにブランドのパーティなんかでお呼ばれする機会があると、一度家に帰って着替えてから外出したりなんかして、はりきってしまう。そんなときにきまって手に取るネクタイが、エルメスのヴィンテージものである。パリのクリニャンクールやミラノの古着屋で、ちょっとずつ手にいれたものだ。相当エグい柄でも締めてみると変に浮かず、Vゾーンを渋くまとめてくれるあたりは、さすがというほかない。こいつとドラゴンの織り柄が施されたシャルべのビスポークシャツとの組み合わせが、僕の鉄板Vゾーンだ。
・・・なんて気合を入れたところで、パーティ会場では隅っこのほうで炭酸水を飲んでいるのがお決まりの光景。たまに声をかけてくれるのは、きまって同好の士だ。「ちょっとこのネクタイ、触らせてもらえますか?」「80年代から90年代のエルメスのネクタイって、今のとシルクのウェイトが全然違うんだよね〜」なんて具合で、極めて無粋なのである! しかし切ないかな僕にとっては軽快なパーティトークよりも断然こっちのほうが心地よい・・・。僕が苦手なパーティに出席するのも、そんな変態トークを求めて、なのである。