ボクの生まれ育った湘南エリアは、今でこそサーフィンだったりガーデニングだったりと濃いーライフスタイルを謳歌する皆様から熱く支持されておりますが、70年代〜80年代あたりは暴走族が牽引するヤンキーカルチャーの総本山でした。かろうじて加山雄三、桑田佳祐が爽やかなイメージリーダーとなっておりましたが、当時、藤沢駅前ロータリーでは毎夜毎夜、今でこそマニア垂涎の昭和の旧車をカスタムした兄貴達が爆音と共にグルグル回っておりました。そんな彼らが愛用していたカーディガンはアルパカで出来たゴルフカーディガンで、アーノルドパーマーやパイプマークのトロイ、マンシングウェアだったんです。その下はカットソー天竺で出来たハイネックTで当然色は白。スリータックのスラックスに踵に金属プレートを打ち付けたとんがり革靴とまぁこれが当時の族の正装だったんです。よく2000年前後のマルキュー・ギャルカルチャーが日本発祥の初ファッションカルチャーだなんて語られておりましたが、この70’S暴走兄貴のオヤジのお下がり利用なファンキーファッションも、まあまあ独自性に富んでいる様にも思えます。元は50’Sの R&R なスタイルと70’Sの黒人マフィアなスタイルのミクスチャーっぽさを感じます。当時、街の理髪店でパンチパーマよりさらに細いカーラーで巻くスタイルをニグロと表記しておりましたしね。結局、1976年以降の『ポパイ』や『ホットドック・プレス』等、オシャレカルチャー誌台頭とともに、そんな兄貴の輝きは失われて行く事となりました・・・。しかし今、20代カルチャーの中で「和テイストミクスチャー」とでも言うべきカテゴリーがございまして、流行のMA-1に夜路死苦のようなエンブロイダリーをあしらったり漢字をグラフィック化したプリントTなどが流行っております。でもよく見ると、サンフランシスコのチャイナタウンで売っていたブルース・リーの古着みたいな洋風勘違いアレンジを漢字に加えて難を逃れている場合もあります。70’S和製ファンキーカルチャーは結構ギリっギリなので使用法を間違えると大惨事となります。かく言うボクもつい買っちゃいました、アルパカ製で禁断のワインレッドカーディガン!これがシャレであるエクスキューズとしてビックサイズをチョイスしております。当事者が着る、「俺がオリジナルを教えてやる系ファッション」は、とても目も当てられないことになるのが通例。アメリカの初老のカントリーシンガーファッションにも似た時間が止まった感に包まれてしまいますので、、、。
REVIEW
手元で馴染んだオーダー品
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
Read More着られない服
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
Read More雨の日のスタイル
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
Read More春のセットアップ
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。
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