こいつのなにがすごいって、裾幅約45㎝というワイドシルエット。もちろんドローコードで絞ってパラシュートパンツみたいにはくこともできるけれど、普通にはくと笑っちゃうくらいのドカンっぷりが、ワイドパンツ中毒患者にはたまらない。はいたときのシルエットもシャキッと落ちて実に素晴らしいのだが、それは高密度のバーバリークロスを2枚重ねて仕立てる、通称「無双仕立て」によるもの。縫製やディテールの凝りようもすごく、生地そのものの美しさと相まって、軍パンとはいえ高級感もかなりのものである。
そんな格好いいパンツをつくったのは、MAINUという日本のブランド。実はデザイナーさんは、僕の大好きなハバーサックに以前在籍されていた方だ。ハバーサック同様にミリタリーからの強い影響がうかがえるのだが、MAINUの服にはよりストレンジな味付けが施されていて、クラシックというより、むしろデザイナーズ的な存在感を放っているのだ。
近頃めっきり嗜好がオヤジ化して、あまり若手デザイナーの洋服も着なくなってしまった僕だけれど、こういう刺激的な洋服をもっと着て、感性の錆びつきを防がなくてはいけないな!
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。