さて、ちょうど今頃(年明け)のパリは早朝の気温がマイナス10度なんてざらで、そんな中ですら、ボクらの週末は義務の如く蚤の市3カ所巡りがお約束の行動パターンでした。コース順としては常設ではないポルト・ドゥ・ヴァンブを集合場所として、その後モントルイユ、クリニャンクールへと移動します。1日のツアーの始まりはいつもここからでした。外にいると寒さで耳の中がキーンと痛くなるので、メトロの階段を上るとそこにあるパン屋併設の安カフェで友を待つんです。ここが貴重な最前線のトイレでもありました。ただ大きいだけのクロワッサン、パン・オ・レザンをほおばりながら座って飲んで8フランのカフェオレで手のひらを暖めながらね。当然、携帯もメールも無いので友人との待ち合わせは、ざくっと「上がったとこのカフェで8時。」がお約束。ちょっと時間が過ぎるまで待って、その時に居合わせたメンバーで廻る、みたいなリズムが80年代のボクらには出来上がっておりました。日本からの来客を同伴したり合流したりと適当な出会いが毎回楽しかったんですよね〜。おっと、脱線しました、手袋でした。マイナス気温にもなると流石に手袋登場となりますが、当時のメトロのチケットは「 CARTE ORANGE 」と申しまして通常メトロ切符より幾分丈夫な紙製切符を専用ポシェットから取り出し機械に通すシステム。このチケットの出し入れが手袋越しではなかなか厳しい。改札を通る度に、外す、落とす、なくす。ほらね、せっかくのお気に入りだったのに・・・。次に古着屋さんでのお宝コンディションチェック。外す、落とす、なくす。あ〜あ高かったのに・・・。かくして相方を無くした片方の手袋でしたら引き出しにいくつも入ってました。昭和の子供みたいに紐でもつけて首からぶらさげとけっ!て話ですよね・・・。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。