しかしそんなベタベタの観光旅行においても、いつかは仕事の役にたつかもしれないし、ちょっとくらいはファッション活動したってバチは当たらないんじゃない? というわけで興味のない妻をなだめすかして、空港で買ったガイドブックに載っていた古着屋さんへとふたりで行ってきました。
ひっそりと静まり返るベネチアの路地を迷いながらたどり着いたそのお店は、観光客がほとんどいないカステッロというエリアにありました。品ぞろえも思いっきり地元向けといった風情で、英国やイタリア製のカシミアセーターや、バーバリーのトレンチ、ちょっとしたレザー小物etc..。正直いってそれほどそそられるモノはありませんでした。しかし商品を触ろうとすると「俺が取るから触るな!」といちいち怒る店主のクセの強さに気圧されて、グランサッソのカシミアタートルネックセーターを購入。価格は60ユーロ。かなり状態はよかったので、まあまあお得だったかもしれません。
支払いを済ませて店を出るときに、店主にガイドブックを見せたところ、ことのほか大喜び。「俺に売ってくれ!」と強烈に懇願されてしまいました。「いやあ、悪いからあげるよ」「いや、売ってくれ。いくら払えばいい?」「いや、いらないよ」・・・。そんなやりとりが何度か続いたあと、「これを持ってってくれ」と店主が無理やり妻の手に握らせたのが、このネックレスでした。「オールドムラーノ」と言っていましたね。もちろん特別立派なものじゃないとは思いますが、その心意気が嬉しいじゃないですか! こういうホスピタリティがイタリアの素敵なところなんだよなあ。
冬のベネチアの寒さを忘れるくらい暖かな気分になった帰りの道すがら、これを「クリスマスプレゼント」としてカウントするか否かでひと悶着ありました。さすがにちょっと虫のいい話だったかもしれませんね・・・。
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