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装いを格上げする筆記具「モーツァルト」、それはペンにおける分相応

今までいろいろな会社で働いてきましたが、いわゆる大手出版社の方々と仕事をしてみて何が驚いたかって、あの人たちみ〜んないいペン持ってるんですよ! 彼らは執筆を依頼するのが一流作家さんだったりするもんだから、依頼状やお礼状とは、ワード文章じゃなくて高級万年筆で、ってのが当たり前。インクの色なんかにもこだわっちゃったりしてね。要するに仕事っぷりが繊細なんです。僕も学生時代はそういうデキる編集者に憧れたもんですが、残念ながら最初の就職先は小学館ならぬ〝エロ本の小学館〟(※社名は各自調査)。そんな、いわば下町育ちのガサツな編集者ゆえ、いいペンを買ったところですぐになくしちゃったり、ペン先もダメにしちゃいます。まあ、所詮僕にはぺんてるのサインペンがお似合いなのさ。それにいくら高いペンを買っても、人に見せられないんじゃもったいないしね。
しかしそんな僕でも、絶対に手放せない1本はあるんです。それがモンブランはマイスターシュトゥックシリーズの「モーツァルト」という小さなボールペン。直径たったの112mmなもんで手帳に挟んだり、スーツの胸ポケットに挿したりと持ち歩きに便利で、やらしいハナシですが人目に触れる機会が多いんです。そこそこ高級感があって洒落ているわりに、スーツからカジュアルまで合わせる洋服を選ばないってのも重要。ヴィスコンティのド迫力貴族趣味も魅力的ですが、アメトラっぽいグレーのスーツとかオックスフォードシャツに合わせると、ペンの高級感だけが悪目立ちするんですよね。
こいつの唯一の難点は、コンパクトでぱっと見フツウのペンに見えるもんだから、デスクの上に置いておくと近くの人が勝手に使ったまんま無意識に〝借りパク〟してしまうこと。僕はちゃんと見てるぞ!