当時これがほしくて夢にまで見て、同じ生地を使ってるというウワサの「インバーティア」というダッフルを探したのだけれど、ヘリンボーン生地のヤツはそれでも高くて買えなくて(確か7万円くらいしましたかねえ?)、2万3000円で無名のイギリス製メルトンダッフルを買ったんだよな・・・。しかも自転車に乗りまくってたら、1年で麻紐が全滅して着られなくなったんだよな・・・。などなど、これを見ていると大学生の頃の思い出(主にネガティブ)が走馬灯のように駆け巡ります。
と、ひとしきりノスタルジーを舐めまわしたうえで、現在のファッションエディターとしての目線でじっくりとこのダッフルを見てみると、やはり素晴らしい完成度に驚かされます。今や倒産してしまったというムーアブルックのヘリンボーン生地は、生地目がくっきり浮き出て実に美しい。トグルを留めているロープや、三角型のレザーによる洒脱な補強。ジャケットの上に羽織りやすいライニング。衿つきで、取り外し可能なフード。しかもすそには、ダッフルコートとしては相当珍しいスリットが入っているという凝りようです。シルエットはかなりゆったりめですが、それがまた最近の気分。6年前だったら、タイトにお直ししちゃってたかもしれませんから。
うーん、この気持ちはなんというか、同窓会で20年ぶりに会った初恋の女子が今でも超美人・・・というのに近いかもしれません。気持ち悪いですか?
しかし、これはもう焼けぼっくいに火がついたという状況なのでしょうか。次はもうひとつのアイコンダッフル、「ジェネラルリサーチ」のベルト付きのヤツにも興味津々です。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。