しかし海外を旅するときだけは、ポイントカードに縛られた生活からはおさらば。お札とクレジットカード、チップ用の小銭をポケットに入れておけば十分ですから。薄型の札入れという手もあるのですが、ジャケットやパンツの後ろポケットに入れるのではスリが怖いので、私はマネークリップに挟んでパンツの前ポケットに入れることにしています。
私がずっと愛用しているのは、ティファニーのスターリングシルバー製。はじめて行ったニューヨーク五番街のショップで購入したものです。日本では独特のこそばゆさというか、フルーツパーラーのようなカップルの甘ったるいスメル漂うブランドですが、このお店はアールデコ様式の建物といい、上層階にあるカスタマーセンターのミッドセンチュリーなしつらえといい、実にキリリとして格好いいのです。グレースーツが似合うドラマ『マッドメン』な世界といいますか。ま、結局集まるカップルのムードは世界中どこも変わらないんですけれどね。日本のショップではかなり時間のかかるイニシャル刻印サービスも、こちらでは機械彫りの場合3日程度で彫ってもらえるから、旅行中でもピックアップできちゃいます。本当は手彫りのほうが深く刻印できて、長持ちするのですが、少々時間がかかるので泣く泣く断念したんだよなあ・・・。
それにしても自分のイニシャル入りのマネークリップをポケットに入れて手ぶらで街を歩いていると、観光客っぽくならず、いつの間にかその街に住んでいるような気分になって、とても気分がいいものです。カフェでの会計時も、わざと無造作にポケットをゴソゴソしたりして。
「ミスター、クレジットカードが落ちてますよ」
や、やばい!
そう、シルバー製のマネークリップって、すぐに締まりが甘くなるのが欠点なんですよね。スリ対策で選んだのに、これじゃ本末転倒!?
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。