80年代、高校生のボクらにとっての猪木の存在とは神以上のものであり、その師が雨の日は休む!とおっしゃっているのだから必然的にボクらも LOW TENSION。ゆえに、ちょっとアンニュイで憂鬱な雨の一日をオシャレに過ごそうと考える事など、猪木ボンバイエの闘魂世代には無縁の概念となるのです。が、しかし、そんなボクも高校卒業から35年が経ち、良い大人となってまいりました。科学の進歩も著しく、素敵なデザインを伴った機能的なレインアイテムやブランドが北欧・ノルウェーやスウェーデン辺りから続々紹介されてきております。更に猪木師匠がファッション性より本格的な防水、撥水をお望みなら、米軍開発のアイテムを是非ご紹介せねばと思います。織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズは秀逸です。フィルムで防水するウェアと違い、服の表面から音がしないんです。シビアな場所でのフライフィッシングなどに最高なんです。いずれこの技術もスタンダードとなって一般社会にも下りてくることでしょう・・・。傘すら必要のないファッショナブルな時代がもうそこまで来ているのかもしれません。この現実を何とか部屋で引きこもっておられる猪木師匠に伝えねば・・・。真っ赤な闘魂タオルも吸水クールマックスでご用意せねば・・・。
しかし、ボクにはもう1つ思春期・愛読書に於ける絶対的な神様がいるんです。それは漫画『釣りキチ三平』の魚神さん、その人です。彼は三平のポテンシャルに関してこのように述べております。『釣り上達の絶対条件として、水を知りながらも、服が濡れる事を恐れないことなのだ。そして三平にその恐れはない!』
マズい、2人の神が全く逆の事を言っている・・・。
しかし、ボクには秘密の趣味があるのです。それは台風直撃の深夜、駒沢運動公園でのナイト・ランニングなんです。最初はたまたま天候の急変で嵐になっただけなんですが、これが最高にハイになるんですよね・・。気圧のせいなのか?理由はわかりませんがアナウンサーの台風レポート状態の、ほぼ滝に打たれる荒行状態で走るんです、10キロ位、それも深夜。その時のウェアは絶対に最新の化繊系で濡れても体に張り付かない、水分を溜め込まない軽量カットソーで出撃がマストです。
雷鳴轟き、空は低い雲が立ち込め、雨は容赦なく顔面に叩きつけられ、目を開けるのがやっとな状態。このズブ濡れな非日常が不思議にも自然との一体感を生むんです。魚神さん、ボクもようやく三平の域に近づきつつあります。大自然との付き合い方ってコレでいいんですよね?
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。