ボクの仏カルチャー実体験は1988年からのパリで、生活を始めた当時は猫も杓子もダブルのライダース全盛だったんです。当然足下は当然ブーツで・・・と思いきや、ここは実態の掴めないフレンチ、ブーツはブーツでもパラブーツのミカエル辺りのちょっとチロリアーンなユルい短靴を合わせているんです。渋カジ・アメカジにはない方法論。憧れや目標の無いコーディネイトですね。ただそこにあったから着た的な考え無しの脱力チョイスです。そしてデニムは黒の501でテキトーに履き古した感じのパリジャンを多くお見受けいたしましたっけ。なので、ボクら在仏日本人は、アメリカ人よりアメカジをこよなく愛する者として、違いの分かってる、ソウルブラザーなフランス人を探して蚤の市を徘徊いたしました。例えば表題のリングブーツと言えば FRYE でしょ?ってことで盛り上がれるような同士を求める旅といったところ。そしていざクリニャンクールの蚤の市へ。ハイハイ、見つかりました!有名なお店ですね、こちら。ブルーススプリングスティーンのようなオーナーの足下は、やはりリングブーツ。つま先を斧で切り落とされた様な独特のフォルム。この店でボクも買いました。同じ奴。写真の様な黒タグ70’Sでしたね。
その昔、FRYEのリングブーツを一躍有名にしたのは片岡義男さんのエッセイでバイクエッセイスト三好礼子さんが素敵に履きこなすリングブーツのくだりが MADE IN USA カタログ的で当時の兄貴達に銘品として刷り込まれているのでした。そんな日本の特殊事情を知る由もないクリニャンクールのブルーススプリングスティーンは独自の審美眼で FRYE をチョイス。この渋カジ感満載のリングブーツ、またそろそろ探してみようかなーなんて。フレンチっぽくイクならキメすぎず、磨かず、あっ、たまたまそこにあったから履いて来ちまいましたを装う周到さが肝要。そしていまならちょっとダサいオチをつけないとシャレにならないこのブーツはまさに諸刃の剣。この秋、あえて怪我してみるのも一興かと・・・。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。