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秋めくブーツ野晒しブーツ

秋になるとブーツを履きたくなる。それは「夏は暑くて履きたくないから」という、気候的な理由だけではない。秋風に誘われて、どこか遠くへ行きたくなるような衝動。旅情に駆られながら、いつものドアを開けて外の世界へ飛び出していく場面には、ブーツで足元を編み上げる動作が似合うと思うのは僕だけだろうか。ともかく、旅の友人となる靴には、まずタフネスが求められる。石畳などの悪路や悪天候にビクともしない頑丈さが必須だ。加えて、履きやすさ。足を優しく包み込む快適な歩き心地も欠かせない。「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」って、僕にとってのフィリップ・マーロウ的ハードボイルドな一足が10年以上前に買った GUIDI だ。能書きを垂れるまでもなく、革質は最高のバケッタレザー。堅牢に縫われたレザーソールとの積み上げでビブラムソールまで搭載している。つまり、柔らかく、履きやすく、汚れてもかまわず、頑丈だということ。普段から僕はこの靴を玄関にほったらかしている。そもそも僕は靴をあまり磨かない。厳密に言うならば「磨く靴と磨かない靴に分けている」のだ。コードヴァン製の Alden もあまり磨かない。靴フェチでもコレクターでもない僕にとって Alden は「只の馬革製アメリカ靴」なのだ。一生懸命磨くのはイギリス製、イタリア製の内羽根式ドレスシューズくらいだ。さておき、GUIDI。実際に旅先へも随分履いて行ったし、悪天候もお構い無し。クリームなんか入れたこともない。たまにブラッシングでホコリを落とす程度。10年の歳月を経て、道に落ちてても誰も拾わないくらいボロいルックスに仕上がったこの靴をイタリア製とかフランス製の洒落た綺麗な服に合わせるのが僕の趣味だ。