ここ1~2年、流行の柄と言えばチェック。2017-18年の冬は英国調のチェック柄ツイードが百花繚乱、大ブレイクしたのも記憶に新しいところ。メンズのみならず、この冬は女の子のアウターもオヤジっぽい英国チェック柄だらけでした。また、パンク再生の流れからタータン系のチェックも復活の兆しを見せています。一方、春夏のチェックと言えばマドラス・チェック。穂積和夫先生による著作『絵本アイビーボーイ図鑑』にもあるとおり「マドラス・チェックのボタン・ダウンシャツやバミューダショーツはサマー・カジュアル・ワードローブの定番」です。インドのマドラス(チェンナイ)地方に由来するこの格子柄は夏らしい軽く柔らかな風合いでデイリーに着やすく、適度にスポーティかつ伝統的。本来は染めや織りにも「マドラス」のルーツがあるようですが、現在ではインドを植民地支配していた英国経由、アメリカ東海岸(アイビー)乗り換えで日本人にも馴染深いチェック柄になっています。2018年春夏はジャマイカ系イギリス人デザイナー、Nicholas Daley もマドラスにフォーカスしたコレクションを発表していますし、マドラスには(他のチェックと同様に)民族のルーツに関わるロマンが内包されているのかもしれません。ともかく、そんなチェック流行りのこの春に僕がクローゼットから引っ張り出したのは8年ほど前にビームスプラス丸の内でカスタムオーダーした INDIVIDUALIZED SHIRTS。ボディや襟型を自由な組み合わせで選べるオーダー会で、スワッチの中からいい感じのマドラス・チェックを見つけた僕は、次にシャツの仕様を決めてゆきます。ボタン・ダウンのプルオーバーというアメリカンスタイルにしてもよかったのですが、そこはヒネクレ者。1950年代アメリカのイメージが強い柄を「ラウンドカラー」「クレリック」「ダブルカフス」という、マドラスからはあまり連想できない英国クラシックのディテールと組み合わせてみました。当然、胸ポケもなし。いざ仕上がってみると、ワイン×ネイビーベースの大柄マドラス・チェックに白いダブルカフスや丸襟がなかなかのミスマッチでナイスな感じ。受け取った当初はチノやホワイトジーンズに合わせていましたが、今シーズンはニューポートブレザーにニットタイではなく、MP di Massimo Piombo のコットンブレザーに9cm幅のシルクタイでツイスト感を加えて楽しんでいます。1970年代風のドギツい多色使いで下品に着こなすのも僕流です。どうしても正統より邪道に引かれてしまうこの性質は変わりようがないのかもしれません。孔子曰く「四十にして、惑わず」…。もはや、あきらめの境地です(笑)。
REVIEW
手元で馴染んだオーダー品
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
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90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
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80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。
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