以前、アールデコの印刷物コレクターの知り合いから聞いた話なのだが、何か新しい価値観のムーブメントが起こると一番最初に反応出来るのが絵画、音楽辺りの個人で表現が完結出来るもの。次いでファッション、映画、のソフトなカテゴリー。そして自動車、船舶、航空機と進み、最後はビル、都市開発となってゴールするらしい。確かに1926年、パリ万博から始まったアールデコの動きは瞬く間に広がり、ニューヨークでいえばクライスラーが30年、エンパイアステートビルディングが31年と4〜5年で建築まで到達した訳だ。ただこれは FAX すら無かった80年前の話。瞬く間と言っても4〜5年はストロングトレンドが漂った訳だ。しかし、今やパリコレを携帯動画で同時中継なんてことが普通の時代なのでやや勝手が変わって来た。海に例えればジワジワ満潮に向かうのではなく、ザバーンと一発大津波が来て一瞬で満潮、そしてイッキに引き潮・・・。こんなイメージなのだ。だからこの春夏、注目の色・柄・素材と問われればその答え方がむつかしい。津波を予想するか否かの問題がある。取り急ぎマイブームの範疇でお答えするならば90年代ラルフローレンのハンドニットのイメージを今のストリートにレイヤーすること。これを古着を使ったリメイクで表現する事。写真は実験的にボクが作ったリメイクGジャンで、このマイブームを一瞬で形にしてみた物なのです。これを直営店の WHITE にディスプレイしておくと、スタイリストさんからの問い合わせがスゴく、衣装としてもこの手法は有効なのだと確信しました。既にある物を生かしつつ、ダダイズムからポップアートのコラージュ手法の如くイメージをスーパークイックに合成すること自体がまさに今の物作りの最新なんじゃないかなーと思います。ネットのパワーの前にはせっかく積み上げたトレンド・ムーブメントも一瞬で拡散、瞬時に飽きられてしまうこの情報大津波時代、デザイナーの生き抜く術は超ゴーイングマイウェイを決め込んで離島で暮らすか、イメージをコラージュするスーパークイック製法で津波に乗りまくるか?このどちらかになりそうな気配。だから、100年前のアールデコ期の、流行がじっくり熟成していった時代のスピード感が作り手側としてうらやましいと思うんです。皆が同じ方向をむいて、ほぼ同じテーマで物作りしていたんですもの。今後ファッションに於いて、小さな街でのプチトレンドは起こっても国ごと、地球ごとの全体を巻き込んだ流行って起きにくいかもしれませんね。想像を絶する新しい生地や地球外移住なんかが視野に入って来たら、別の意味で、ソワソワ・ワクワクの大津波がきそうですよねー。
REVIEW
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