2016年春に買った〝ジョルジオ アルマーニ〟のビッグシルエットコートは、キュプラ100%で、しかもペールピンク。まさしく〝あの時代〟そのものな色柄なのだが、1枚仕立てで肩パッドも入っておらず、とても軽快でモダンなものだった。おそらく今の世の中ではこういうのを80’sと解釈するのだろうが、往時をかすっている男としては満足できない。もっとリアルなヤツはないのかと・・・。
そんなとき自宅に届いたのが、昨年エムズブラックで注文していたこいつだった。甘ったるいペールピンクとギンギンの肩パッドを組み合わせたロングコートは、これぞ80'sとうならせるリアル感。素材には和紙を使っており、レーヨンやキュプラほどではないが、独特のゆるさを醸し出している。こりゃあ若手のにわか80’sどもは決して手を出せないし、かといってリアルタイムなバブリー世代は決して手を出したいと思わないだろう。僕以外にこれを買っているヤツがいたら、会ってみたいものだ。きっと一目会った瞬間に熱い抱擁が始まるだろう。
しかしさすがの僕でも帽子なしにコイツを羽織ったら、完全にバブリーコント。リネンのTシャツやパンツなんかと合わせて、クラシック方向に振ろうと思っている。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。