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極め付きのスウェット♫ Blitzkrieg Bop(電撃バップ)なフロッキープリントスウェット ♫

今回のお題のスエット素材に関して、まさに今、和歌山県でヴィンテージなオリジナル素材開発に挑んでおります。がしかし、あまりに写真では伝わりにくいと判断いたしまして、ボクが長年コレクションしておりますヴィンテージ・フロッキープリントの製法及び魅力に関して書かせていただきます。まずはフロッキープリントの技法から。フロッキーとはプリント部分(ロゴやモチーフ)表面がベルベットの様に起毛させる手法で、皆様も小・中学校の体操服に◯◯中なんてプリントがされていたと思います。まさにアレです。ただし、80年代あたりからフロッキーは2つの手法に分かれます。1つはほぼ現行手法で糊の付いたベルベットシートからモチーフをカットして熱で圧着するタイプ。そしてもう1つがボクがコレクションしている上の写真の様な仕上がりの『電極植毛フロッキー』なのです。では上の写真を題材に電極タイプのプロセスをご説明いたします。まず、オウムと学校名のシルクスクリーン版を作り、いきなりですが製品に直接糊でモチーフ版をプリントします。この段階では糊なので透明です。次にちょっとした装置が登場します。食パン2枚の間に具材を挟んで作るホットサンドメーカーの大型版のような見た目で中央にはレーヨンの繊維の入った箱、ホットプレート上部は電極プラス、下部は電極マイナスとなっています。そこにさきほどの糊でモチーフが刷られたトレーナーを挟みスイッチオン!すると静電気でレーヨン繊維が移動し、きれいに糊の付いた部分に突き刺さり、結果、モチーフがベルベット状になるわけです。そしてオウムの体のレッドや靴、嘴のイエローを通常のシルクスクリーンでプリントします。これで完成です。超アナログ的というか偶発的と言うか・・・。ではここから『電極植毛フロッキー』の魅力について始めさせていただきます。
①レーヨン起毛面に刷ったインクが洗濯と共にグラデーション状に退色し、あたかも水彩画の様に変化する。(オウムの赤に注目!)
②30〜40年も経過すると最初の糊部分が硬化しひび割れてくる。これがまたいい雰囲気。(学校名のフォントのひび割れに注目!)
③ベルベットシートのカットだと裁断部分が切り立った崖の状態ですが、電極植毛だとなだらかなカーブとなる。この③が実は一番重要で昔のケロッグのおまけのアイロンワッペンかヴィンテージかの一番の判定ポイントとなるんです。
以降、手間のかかり方がハンパ無い電極植毛が衰退するのは解らなくはないが、なくなった一番の理由はレーヨン繊維を職人さんが吸引してしまう塵肺障害が懸念されるから・・・と聞かされました。98年にスタートしたスロウガンでも最初期にはこの『電極植毛フロッキー』をやりまくりました。当時は1着1着手作業で筆で着色したんです。その頃はまだ秋葉原と神田の中間に電極植毛フロッキーの町工場があったんですよねー。